(解説)神戸市で開催の国際会議、戦略的誘致に成果 3年連続2位も施設に課題

20201214国際会議件数

 日本政府観光局(JNTO)が発表した2019年の国際会議統計では、神戸市での国際会議の開催件数が前の年に比べて19件増の438件と、東京23区(561件)に次いで都市別開催件数の2位になった。東京23区に次ぐ2位は、3年連続。大規模な国際会議が開催できる都市としての地位を固めつつある。19年は3月にインターネット上のアドレスやURLを管理する非営利組織「ICANN」(米カリフォルニア州)の総会が19年ぶりに日本で開催されるなど、70カ国以上の参加者が集まる大型会議が3件あった。戦略的な会議誘致が奏功しているが、大型会議の誘致には施設面での弱さも指摘されている。

 JNTOは参加者の総数が50人以上で、3カ国以上の参加があり、開催期間が1日以上の会議を国際会議と認定。全国のコンベンション(会議・集会)推進機関などからの情報を取りまとめた。日本全体では前の年に比べ5.5%多い3621件の会議が開かれ、昨年に続いて過去10年での最高を更新した。開催都市別では3位が京都市(383件)、4位が福岡市(313件)、5位が横浜市(277件)と続き、上位10位までの顔ぶれに昨年からの変動はなかった。

 神戸市で国際会議の誘致を担当する神戸観光局の「神戸コンベンションビューロー」によると、ICANNを含む大型の国際会議3件はいずれも神戸に縁がある会議だった。ICANNの前身に当たる会議が世界初の規模で開催されたのは1994年の神戸市だった。このほか6月に開催した「第13回国際リハビリテーション医学会世界会議」は、医療や福祉の団体に集積がある神戸での開催が期待されていた。10月に開催した「第17回国際技師装具協会(ISPO)世界大会」は30年ぶりの日本開催になったが、その30年前も神戸で開催した。

 神戸観光局は前身の神戸国際観光コンベンション協会だった時代から、その名が示す通り「コンベンション(会議)」の誘致に積極的だった。1981年には、いち早く港湾機能と連動する見本市会場として神戸国際展示場(神戸市中央区、写真)が完成。国際会議でなくても医学会の開催地としては国内学会などの間でも定着しており、専用のおみやげまで売り出されたほどだ。さらに近年では16年4月にコンベンション協会内に「MICE誘致部」を設置。大学や国、行政などと連携して会議を誘致するスタイルを確立した。17年に英語を母語とする職員の採用で、海外からの誘致を強化している。こうした戦略的な誘致の強化が実を結んだのが、3年連続2位という好成績だ。

20201214神戸国際展示場

 ただ、足元で会議や見本市などの誘致に大きな逆風になっているのが、コンベンション施設の老朽化だ。現在主力の施設はポートアイランドの市民広場を囲む神戸国際展示場、神戸国際会議場、神戸ポートピアホテルの3施設で、いずれも1981年の開業だ。特に神戸国際展示場は2006年に追加でオープンした3号館を入れても展示スペースが1万4812平方メートルにとどまる。たとえば大阪市住之江区の大阪国際会議場(インテックス大阪)は総展示面積7万2978平方メートル。国内で最も大きな展示場である東京ビッグサイトは、総展示面積11万5420平方メートルと、もはやケタの違う広さだ。展示会の主催会社からは「バイオに関する見本市は本当は神戸で開きたいのだが、展示場の広さがまったく足りない」といった声も出ている。

 コンベンション施設の老朽化は、すでに神戸の産業界でも話題になっている。神戸商工会議所から神戸市への政策提言や要望には、定番のようにコンベンション施設の更新が盛り込まれる。国際会議や、付随する展示会などが増えれば、ビジネス客が多く神戸に訪れることになる。海外からのビジネス客が増えれば、観光客が増えるよりも経済効果が大きいとの試算もある。ところで、神戸国際展示場の西隣にあるポートアイランドスポーツセンターには、建て替えの話が持ち上がった。さらにその西隣には広大な駐車場がある。神戸国際会議場に入居しているサンテレビも来春に移転する予定だ。もしかすると神戸の一連のコンベンション施設には、建て替えの好機が迫っているのかもしれない。

(神戸経済ニュース編集長 山本学)

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