スーパーコンピューター「富岳」が世界4冠を初防衛 性能の世界ランキングで
- 2020/11/17
- 06:00
理化学研究所は17日、計算科学研究センター(神戸市中央区)で富士通と共同開発しているスーパーコンピューター「富岳」(写真=資料)が、世界のスーパーコンピューターの性能ランキングである「TOP500」など4つの主要なランキングで、2回連続の首位を獲得したと発表した。富岳は6月に、世界で初めて4つのランキングで同時に首位を獲得していたが、2021年度の利用開始を控えて「4冠」を初防衛した。高性能計算技術に関する国際会議「SC20」で発表された。
富岳が1位になったのはTOP500のほか、実際のアプリケーションなどでよく利用される計算方法でみた処理速度のランキング「HPCG」、人工知能(AI)で主に使用する演算方法でみる性能の指標「HPL-AI」、ビッグデータの分析で重要になる大規模グラフ解析の性能ランキング「Graph500」の4つのランキングだ。いずれも年に2回発表される。理研によると、4つのランキングで1位を獲得は富岳の「総合的な性能の高さ」を示すという。
今回のランキング時点で、TOP500では2位との差が約3倍、HPCGで約5.5倍、HPL-AIで約3.6倍、Graph500で約4倍以上の差を付けたという。始めの3ランキングの2位は米エネルギー省やIBMやエヌヴィディアなどが共同開発している「Summit(サミット)」。Graph500の2位は、中国の国家機関が開発した「神威・太湖之光(しんい・たいこのひかり、英名Sunway TaihuLight)」だった。
理研・計算科学研究センターの松岡聡センター長は今回の結果について「突出して世界最高性能であることを、6月の前回のランキング時点からさらに向上させる形で、再び示すことができた」とコメントを発表した。神戸を拠点にスーパーコンピューターの産業利用を促進する計算科学振興財団の秋山喜久理事長は「産業界の『富岳』への期待も一段と高まっている」などとコメントを発表した。
現時点で「富岳」は開発中だが、理研は新型コロナウイルスに関する研究向けには先行利用を実施。せきやくしゃみのほか、会話などでも飛び散る飛沫のシミュレーションなどで、すでに成果を上げている。
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