13日に出そろった神戸市に本社を置く上場会社の2020年4〜9期決算を集計すると、発表した33社のうち半数近くの16社で「利益の上振れ」が確認できた。4〜9月の実績が会社予想を上回るか、21年3月期の通期予想を引き上げている。残りの17社についても、明確に「下振れ」と認定できるのは1社にとどまり、新型コロナウイルスの影響で国内外の景気が低迷した4〜6月期からの回復が、想定以上だったことが分かった(グラフ)。
純利益(単独決算の場合は税引き利益)が会社予想を上回ったのが
ビオフェルミン製薬、
アジュバンコスメジャパンなど14社だった。
川崎重工業と
バンドー化学は4〜9月期の純利益予想を開示していなかったが、21年3月期の連結業績予想を上方修正したことで、「上振れ」と数えて16社になった。半面、4〜9月期の実績が会社予想よりも悪化したのは
キムラタン1社だった。通期予想の純利益を下方修正したのは
上組1社だけだった。
上振れと数えなかった上場会社は、多くは4〜9月期予想を提示していなかった会社だ。こうした会社も、市場予想の平均値とされる数値を会社実績が上回るケースが散見された。特に中国や欧州で業績が回復した企業が目立ち、特に7〜9月期の海外での景気回復は多くの会社にとって想定以上だったようだ。通期予想の純利益を下方修正した上組も、4〜9月期は会社予想を上回ったため「上振れ」に数えた。
こうした上場会社の収益改善は、株式相場の上昇につながっている。足元の好業績を受けて、6日に神戸製鋼所の株価は11%超上昇、10日には川重株が13%超上昇した。鉄鋼株に重工株といった、発行済み株式数が多い大型株が10%を超える上昇になるのは、きわめて珍しい。これまで投資家の食指が伸びていなかった銘柄に、多くの買い注文が集まったのが日経平均株価が2万5000円台に上昇するなど相場全体を底上げした面がある。
ただ、このところ国内外で再び新型コロナの感染者数が増加している。対症療法に使う薬剤が見つけ出されたこともあり、4〜5月に比べると重症化は防げるようになっているとの指摘はある一方、依然として感染拡大を警戒して経済活動を制限すべきとの声も根強い。実際に欧州では再び外出する動きも広がりつつある中で、21年3月期末にかけて企業収益の回復が続くかは予断を許さない。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)
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