川重、世界初の内航タンカー向け電気推進システムを受注 緊急用電源にも
- 2020/10/08
- 23:28
川崎重工業は8日、世界で初めて建造する「ゼロエミッション電気推進タンカー」に搭載する推進システム(図=川重提供)を受注したと発表した。推進システムは大容量のリチウムイオンバッテリー、推進制御装置、電力管理装置などから構成し、通常の船舶の主機関の代わりになる。蓄電池の電気を使ってプロペラを回して進む船とあって、平常時は二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、粒子状物質(黒煙)を排出しないのが特徴だ。
国際海事機関(IMO)による排ガス規制の強化が進む中で、従来の船舶燃料である重油に代わる新たな動力源を模索する動きが広がっている。バッテリーの電気を推進力に使えば、そもそも規制対象の温暖化ガスや有害物質を排出せずに済む。再生可能エネルギーで発電した電力で充電すれば、総合的に温暖化ガスの排出抑制にもつながる公算だ。発案を受けて川重は造船のノウハウを背景に、船級に関する規定などに沿った電気推進システムを開発・構築した。
商船三井の関連会社である旭タンカー(東京都千代田区)が2隻を発注。1隻に1740キロワット時のバッテリー2基を搭載する。東京湾内を運行する舶用燃料供給船として運用する予定だ。大規模自然災害時には緊急用電源として、一般的な電気自動車の約100台分に相当する電力供給が被災地向けに可能という。旭タンカーと、電気推進船(EV)を開発する「e5ラボ」(東京都千代田区)のアイデアで緊急用に発電機も搭載した。
1隻目は興亜産業(香川県丸亀市)で建造し、22年3月に完成。2隻目は井村造船(徳島県小松島市)で建造し、23年3月に完成を見込む。全長62メートル、全幅10.3メートル、喫水4.15メートル。総トン数は499トンだ。タンクの容量は1280立方メートルで、速力は約10ノットを予定する。
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