JCRが神戸製鋼を「A-」に格下げ 業界環境・業績の悪化で見直し

 格付け会社の日本格付研究所(東京都中央区)は30日、神戸製鋼所が発行する社債への投資に対する安全度を評価する「長期発行体格付」を、「A(シングルA)」から「A-(シングルAマイナス)」に引き下げたと発表した。神戸製鋼が2021年3月期まで2期連続で赤字を計上する見通しであるうえ、新型コロナウイルスの感染拡大による需要減などで、業績の大幅な回復を見込みにくいと指摘した。

 JCRは国内高炉各社の事業環境について「00年代半ば以降で最も厳しい事業環境に直面している」とみている。背景には人口減少や自動車メーカーなどが生産地での材料調達に動いていることなどがあるという。さらに中国メーカーなどの生産能力拡大で海外での競争も激化している。日本製鉄、JFEホールディングス、神戸製鋼ともキャッシュの創出力は低下していると指摘。このため高炉各社の格付けを見直した。

 なかでも神戸製鋼は素形材事業の生産トラブルや歩留りの低下で業績が悪化していたところに、新型コロナによる「航空機や船舶向けの需要の低迷により業績改善が遅れる懸念がある」という。有利子負債の増加と、最終赤字の計上による自己資産の減少で財務体質は悪化。神戸発電所3・4号機への設備投資や老朽設備の更新費用なども考慮する必要があり、「当面の財務改善は鈍いと考えられる」と結論付けた。

 日本製鉄とJFEの格付けは、いずれも「AA-(ダブルAマイナス)」を据え置いた。ただ「安定的」としていた見通しを「ネガティブ」(格下げ含み)に引き下げた。

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