手代木・塩野義社長「10年に1度ぐらい壊しながら進まないと」 神戸で講演

20200904手代木功氏

 「2020年現在の塩野義の弱みは、痛みを伴って生き残ってきたんだよと実感がある社員が、ほとんどいなくなってしまったこと」。こう話すのは、神戸国際展示場(神戸市中央区)で開催している産業総合見本市「国際フロンティア産業メッセ」で3日に講演した塩野義製薬の手代木功社長(写真)だ。収益の拡大局面ばかりみている社員に、会社の窮地をどれだけ苦労して切り抜けたのかは伝わらない。「だから企業は10年に1度ぐらい壊しながら進まないと、なかなか企業というものは次のステップに進まない」と手代木社長は話す。

 1985年に売上高で国内3位に浮上し「御三家」と呼ばれた塩野義だったが、「そのあたりから企業の下り坂は始まっていた」という。慢心して新薬の研究開発に力を入れなかった結果、2000年ごろにかけて急速に収益が悪化。売上高、利益とも国内で10位にも入らなくなった。当時、経営企画部だった手代木氏は「医薬品に特化するしかない」と考えて、それ以外の部門を次々に売却。4000億円程度の売上高を2000億円程度にまでリストラしたのには内部からの批判もあったが、「生き残るためにはどう考えても必要だった」。

 さらに、開発から収益化までに時間がかかる製薬会社の場合「リストラのような苦しいことやっている間に、どれだけ将来のタネを仕込めるか」も重要だ。その後、高脂血症の治療薬「クレストール」の特許切れで収益が急速に悪化する2013年以降、抗HIV治療薬の収益寄与が始まる。抗HIV治療薬は激しいリストラを断行した2000年ごろに開発に着手した医薬品で、「これがいまの塩野義を作っている」と語る。

 今後の塩野義がめざすのは「HaaS(Healthcare as a Service、サービスとしてのヘルスケア)」だという。たとえば感染症領域では予防、診断、治療、重症化抑制をすべて取り組む必要がある。そのために透明性や追跡可能性を高めて迅速に意思決定できるような「意思決定の高度化」と、従来の枠組みでは解決できない課題にも取り組むための社内外での連携を中心とした「業務プロセスの改善」に取り組む。塩野義単独で取り組むことばかり考えるのではなく、「パートナーとして選んでもらえる会社になる必要がある」と変革の方向性を示していた。

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