郵船や川重など、燃料電池船の開発に着手 中型観光船の24年完成めざす

20200809燃料電池船の実証事業

 日本郵船、東芝傘下の東芝エネルギーシステムズ、川崎重工業、日本海事協会、ENEOSの5社・団体は1日、共同で水素を燃料とする燃料電池船の開発に着手すると発表した。船舶の分野では遅れていた燃料電池の活用に取り組み、二酸化炭素(CO2)を中心とした温暖化ガスの排出がない船舶を開発する。まずは旅客定員100人程度、全長25メートル程度の中型観光船を、2024年6月に完成させたい考えだ。燃料電池を商用船に導入する試みは日本で初めて。

 高出力の船舶用燃料電池システムと、水素燃料の供給システム構築が主な技術開発の内容で、実証事業として新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受ける(図=川重提供)。プロジェクトリーダーと船型開発は郵船が担当。東芝エネルギーシステムズは高出力の燃料電池、川重は燃料タンクと燃料電池をつなぐ船内燃料供給システムとエネルギーの制御システム、ENEOSは陸上から船舶に水素を供給するシステム、日本海事協会は安全性の評価基準などについて、それぞれ開発を担当する。

 背景には16年のパリ協定発行を機に温暖化ガスの排出抑制のため、船舶でもCO2などの排出規制を強化する流れがある。国際海事機関(IMO)は18年に、国際海運分野からの温暖化ガス排出量を50年までに半減、今世紀中にゼロにする方針を打ち出した。足元では船舶燃料を重油から液化天然ガス(LNG)に切り替えてCO2排出抑制に取り組む動きが広がっているが、これではIMOの目標が達成できない。このためCO2を排出しない「究極のクリーンエネルギー」である水素の活用が必要と考えた。

 国内の船舶の8割を占める総トン数499トン以下の小型船・一般貨物船がすべて燃料電池に切り替われば、国内の船舶から発生するCO2は現在の半分である年500万トン程度に減らせるとの試算もあるという。まずはモデルになる船舶を各社のノウハウを持ち寄って建造し、法規制、安全性、経済性を含めた実用性を検証する。完成した船舶は郵船の子会社である新日本海洋社が、横浜港の観光船として実証運航する計画という。

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