神戸市の19年度、20年ぶり市債残高が実質増加 実質収支は13億円黒字
- 2020/08/21
- 19:30
神戸市が21日に発表した2019年度決算は、一般会計が13億2100万円の黒字(18年度は20億4000万円の黒字)だった。社会保障関係費用に加え、新長田合同庁舎や兵庫区役所の建設費用など投資的経費は増加したが、個人所得の増加を受けた個人市民税を中心とした税収増や、経費削減などが寄与。9年連続で財源対策を実施せずに実質収支の黒字を確保した。一方、投資的経費の増加で、国の交付税を肩代わりした分を除く実質的な神戸市債の残高は20年ぶりに増加した。(写真は神戸市役所=資料)
19年度の歳入は8127億100万円、歳出は8036億7900万円だった。歳入と歳出の差額である90億2200万円から繰越財源の77億100万円を差し引いた残りが実質黒字になる。黒字として残った13億2100万円は、市議会が決算を承認した後に決算剰余金として財政調整基金に組み入れ、今後の財源不足などに備える。
19年度末(20年3月末)時点の市債発行残高は1兆1430億円と、前の年度末に比べて322億円増加した。このうち、国が神戸市に支払う地方交付税の代わりに発行する「臨時財政対策債(臨財債)」の残高が3月末時点で5307億円と、1年前に比べて319億円増加。臨財債を除いた実質的な借金である神戸市債が、投資的経費の増加で同6123億円と3億円増えた。臨財債でない神戸市債が増えたのは、臨財債の発行が始まる前の1999年度以来20年ぶり。
住民の高齢化に伴い、社会保障関係費の増加は今後も続く見通しだ。生活保護や保険会計への拠出が含まれる社会保障関係費は、支出の増加を行政が制御しにくい構造になっている。このため神戸市は対策を取らなかった場合、一般会計の単年度の収支不足額が21年度に21億円、22年度は31億円になると試算している。
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