広田アシックス社長「次年度以降の黒字化が前提の今期24円配」 記者会見

 アシックスの広田康人社長は13日、テレビ会議システムを通じて開いた2020年1〜6月期決算の記者会見で、「次年度以降についてはしっかり業績が戻ってくる、黒字化できるということを前提に24円の配当を予定する」と述べ、来期の収益回復に自信を見せた。同社は20年12月期に連結最終損益が220億円の赤字になる業績予想と同時に、前期比6円減の24円と前期の普通配当と同額に相当する額を期末に配当する計画を示した。

 東京五輪・パラリンピックは来年に延期になり、世界各地の直営店や得意先(卸売先)の店舗で臨時休業や営業時間の短縮が相次ぐなど、同社の業績は新型コロナウイルスの感染拡大が大きな打撃になった。1〜6月期の売上高は前年同期比22%減だった。だが、月次でみると売上高は4月を底に反転。6月は前年同月比4%減の306億円、7月速報値は6%減の342億円と回復基調だ。大規模な構造改革などは実施せず、来期の東京五輪商戦まで戦力の温存をめざす。

 一方で広田氏は、足元の環境変化を取り込む形で「デジタルを経営の真ん中に置いて戦略を考える」と強調する。1〜6月期のネット通販での売上高は前年同期比で約2倍と成長。会員数が増得ているランニングアプリとの連携など、新たな販売チャネルの強化でサービスも拡充する。蓄積したデータを元にした販売戦略の立案も進める。同時に、期初時点で1880億円を見込んだ販管費を1554億円に圧縮。「経費をスリム化してコロナがおさまった後に高い収益性をめざす」という。

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