ARの空間は誰のもの? 神戸市が「もう1つの神戸」の職員向け体験会
- 2020/08/06
- 01:25
神戸市は5日、拡張現実(AR)の空間に浮かぶ「もう1つの神戸市」の体験会を市役所内で職員向けに開き、報道関係者向けにも公開した。メガネ型のウエアラブル端末を身に付けると、床の上に立体的な都心・三宮の街並みが浮かび上がり、鳥の視線で神戸の中心部を眺めることができる(写真は合成したイメージ=U.提供)。ARクラウドという新技術の紹介を目的とした体験会だ。都市計画や防災などで活用が期待できるほか、さまざまな商業利用なども考えられている。
技術を提供したのは、プロジェクションマッピングなどを活用した体験型展示の制作などを手がける「U.(ユー)」(神戸市灘区)だ。政府が進めている先端技術を最大限に活用した都市「スーパーシティ」構想の実現に向け、実証実験を民間企業に呼びかけた神戸市の事業「Be Smart KOBE」に同社が応募。現実世界と仮想空間とを同時に眺めることで、飛躍的に情報量を増やせるARクラウド技術を、公共サービスの向上や効率化にも生かせるだろうというわけだ。
第5世代の移動通信規格「5G」のサービスも一部で始まり、ウエアラブル端末の普及も秒読み段階。こうした環境の変化を受けて、U.の瀧大補代表は「ARクラウドも数年内に一気に普及する」とみる。たとえば海外で、神戸の街を丸ごと展示するといった使い方も可能。加えて、こうした技術を活用した情報インフラを整備することで、神戸がネット上の空間を通じたビジネスの入り口として活用されることへの期待も出てくるという。
ところで、仮想空間上の神戸を一般に開放し、誰でも出入りができるようにした瞬間に、そこはもう1つの街になる。そこにある建築物や道路は誰が管理すべきなのか、ビル壁面を広告に使った際に収入を得るのは誰なのか、そこでの違法建築は取り締まるべきなのか--。現実世界と仮想空間が融合するARでは、仮想空間での「事件」が現実世界に波及する可能性も考えられる。「そうした議論を一刻も早く始めるべきと考えたのが、Be Smart KOBEに応募した最大の動機」と瀧代表は話す。
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