神戸市の岡口副市長が退任 ヤミ専従問題も「辞めたいと思ったことない」
- 2020/07/11
- 04:27
神戸市の岡口憲義副市長は10日、12日付で退任するのを前に記者会見した。岡口氏は2014年3月に就任して以来、副市長として6年3カ月を務めた。記者会見の冒頭で「本当に長い間ありがとうございました」と謝辞を述べた後、自ら退任の経緯に言及。時代の大きな変化を感じ「こういった中では若い人に交代した方がいいのではないか、との思いが日に日に思いが強くなった」のが、2期目の任期途中での辞任の理由だと説明した。久元喜造市長と相談のうえで1月には、3月末に後任と交代することを決めたが、新型コロナの影響で3カ月間延びたと話していた。岡口氏は8月にも観光地経営組織(DMO)である神戸観光局の役員に就く。
記者会見での主なやりとりは以下の通り。
--副市長としての仕事で印象に残っていることは。
「1つは神戸港。開港150年を迎えて、阪神淡路大震災の前年を上回る貨物の量を達成できたのは、私としては、ほっとしたところ。これが1つの大きな思い出というか、なくてはならない経験だった。もう1つは神戸空港だ。神戸空港の運用規制緩和は開港以来の悲願だったので、久元市長の努力のもと実現できたことも大きなできごとだった」
ーー任期中は三宮再開発など将来に向けた事業にも踏み出した。
「久元市長が常におっしゃっているが、神戸は阪神淡路大震災の復興を乗り越えて、新しいステージに入ったというように私も感じている。財政力も政令市のなかで中位まで回復しており、未来に向けて新しい投資に向かうことができる、またそうすべき時代に差し掛かったと私も認識して、久元市長のもと必要な施策に取り組んできた」
「一方で、全国的な人口減少といった新しい課題が神戸にも与えられている。こうした新しい課題を正面から見据えながら、震災でできなかった取り組みも進めるという2つの命題を、未来に向けて進めるべき時代だったと思うし、久元市長のもと着実に進んでいると考えている」
--ヤミ専従問題など神戸市の体質・風土の問題も明らかになった。神戸市役所出身の副市長としてどうか。
「(ヤミ専従は)負の遺産だったと今も思っている。久元市長の指示を受けながら、負の遺産の解消に、私なりに懸命に取り組んできたつもり。第三者委員会でいただいた課題についても真摯(し)に取り組んだつもりだ。市民のみなさんから見て、まだまだという面があるかもしれないが、私なりに取り組んできたので、残された課題があれば新しい職員にゆだねたい」
--市役所内で組織風土に変化は感じるか。
「大きく変化していると思う。負の遺産に関係するものはもちろん、(それ以前に)世の中が大変大きく動いていると思う。『働きかた改革』という言葉自体は以前からあったが、これほど具体的に動いてきたことはなかったと思う。いま神戸市役所は他都市に決して負けない、むしろ進んだ庁内改革に取り組んだのではないか。もちろんヤミ専従だけでなく、時代にふさわしい働きかたという意味でも、先陣を切っていると私は自負している」
--職員にエールを送るとすれば。
「これまで経験したことのない新しい課題が山積みではあるが、神戸市は震災も、コロナも、どのような社会経済状況も乗り越えて前に進んできたと考えている。そういった底力はどの都市にも負けないと考えているので、ぜひ自信を持って、前を向いて進んでいただきたい」
--ヤミ専従問題のときなど、つらい、辞めたいと思ったことはあるか。
「辞めたいと思ったことは正直、なかった。負の遺産ということは私も認識したので、できるだけ早く、市の職員が一丸となって乗り越えていきたい、新しい神戸市を作っていきたいという気持ちでいっぱいだった。強がりかもしれないが、辞めたいとか、つらいという思いよりも、やり切らなければならない、早くやり切らなければというのが正直な感想だった」
--辞めるかどうかで市長と相談したこともないということか。
「それは一切ない」
--今後取り組みたいことは何か。
「たいへん厳しい状況にある中小企業を中心に、神戸経済をどのように支え、発展させていくのかはたいへん大きな課題だ。そのためには世の中でさまざまに議論されているように、ウィズコロナを前提とした経済活動について業界のみなさんと議論することになろうかと思う。今後、私も担当捨『GoToキャンペーン』など国の動きも注視しながら、神戸が旅行者に選ばれるように関係者の皆さんと取り組んでいきたい」
--これからの神戸空港への期待は。
「新型コロナの影響は想定していなかったことだが、7月中に20往復まで復帰する予定だ。発着枠40往復のうち半分は見通しが立った。時間はかかっても必ず神戸空港は回復すると思う。神戸空港のポテンシャルはたいへん大きいものがある。それを関西3空港の一体運用によって発揮しやすくなった。航空業界がこのまま横ばいということは決してないだろうから、新型コロナの状況によって時間はかかっても40往復への回復を目指して進んでいくことになると思うし、そのための施策は業界とともに取り組んでいくことになると思う」
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