神戸製鋼の前期、過去2番目の最終赤字680億円 減損計上で・今期予想は示さず
- 2020/05/11
- 23:01
神戸製鋼所が11日に発表した2020年3月期の連結決算は、最終損益が680億円の赤字(前の期は359億円の赤字)だった。国内外で自動車生産が低迷したのを受けて、チタン製品やアルミ製品に関する製造設備や工場の土地など、固定資産の減損処理を実施。減損損失の499億円に加え、投資有価証券の評価損150億円と合計650億円の特別損失を計上したのが響いた。
大幅な減損損失を計上したことで、阪神淡路大震災が発生した1995年3月期(924億円の赤字)に次ぐ、過去2番目の大幅な最終赤字になった。20年3月期は3期ぶりの無配と2月6日に発表していた。
売上高は前の期に比べ5%減の1兆8698億円、営業利益は同80%減の98億円になった。会社予想は売上高1兆8900億円、営業損益50億円の赤字だった。チタンを含む鉄鋼、アルミ・銅、建機の3部門の減収で売上高はほぼ想定通りだったが、営業損益では黒字を確保。米中貿易摩擦を受けた事業環境の悪化を受けて、コスト削減など急速な費用削減に乗り出したことで想定よりも採算が改善した。
業績悪化で19年3月期が赤字見通しになったのを受けて、同社は2月7日付で山口貢社長を委員長に「緊急収益改善特別委員会」を設置。役員報酬の減額をはじめ、労務費の削減や、研究開発費や保全工事費の抑制など固定費の圧縮を中心とした200億円規模の費用削減を計画した。棚卸資産の削減による運転資金の改善や、資産売却などで1200億円規模で資産の現金化を今期に進める。
新型コロナウイルス感染症の流行で、海外の生産拠点では現地政府の命令で一部の工場が操業を停止した。たが現在はシンガポールの1拠点を除き、すべての拠点で生産に復帰。ただ複数の生産拠点で需要の減少が目立っているといい、21年3月期の業績に影響するか注視する必要があるという。一方で、手元現預金の確保や銀行融資枠の設定などで資金繰りには余裕を持たせる。
21年3月期の連結業績予想は開示しなかった。新型コロナウイルスの収束時期が見通せず、現時点で今期予想の合理的な算出は難しいとしている。
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