川重、商船建造は中国シフト 神戸は潜水艦中心に・造船再建策

20170331川重神戸工場

 川崎重工業は31日、船舶建造能力の削減を柱とした造船事業の再建策を発表した。国内の商船建造は坂出工場(香川県坂出市)に集約し、神戸工場(神戸市中央区)は潜水艦の建造を中心にする。坂出工場ではLNG(液化天然ガス)などのガス運搬船を中心に建造し、商船は主として中国の南通市と大連市にある海運大手の中国遠洋海運集団(COSCO)との合弁会社で建造する。海洋分野は収益が原油価格に左右されやすいため、建造中のオフショア作業(海底掘削)船を最後に撤退する。(写真は川重神戸工場=資料)

 川重は今期まで2期連続で船舶・海洋事業で大幅な赤字を計上する見込みになったことから、10月に金花芳則社長を座長とした構造改革会議を設置。造船からの完全撤退も含めて検討を進めた。ただ今回、川重は世界的に船舶建造能力の過剰が解消される見通しは立たないとしながらも、LNGやLPG(液化石油ガス)の需要増や、世界的な環境規制の強化は同事業の追い風になると判断。造船機能を縮小しながらも社内に残し、後継人材の育成などにも努める。

 商船の建造施設は坂出工場の2ドックを1ドックに減らす。一方で南通の2ドックを維持、大連の1ドックを2ドックに増やす。坂出工場で建造する船舶はガス運搬船など相対的に高採算の船舶に限り、コンテナ船やばら積み船、タンカーなどは中国で建造する。中国の2工場とは、資材の共同購入などで、より川重と一体的に運営する計画だ。こうした取り組みを通じて、船舶海洋事業で2020年の投下資本利益率(ROIC)8%以上に引き上げるのを目標とした。

20170331川重の造船再建策

 ブラジルの合弁会社で受注したドリルシップ(海底ドリル船)で200億円超の損失を計上した経緯などもあり、海洋事業は撤退する方針だ。ただ商船も含めて現在建造中の船舶は19年半ばに見込まれる完成まで現在の体制で建造を続ける。4月以降は金花氏をトップとした構造改革実行会議で、船舶事業の構造改革を進める。

 今後は造船事業で発生したような損失が拡大する事態を避けるため、全社を対象にプロジェクトの進捗を管理する「プロジェクトリスク管理委員会」を設置。受注前のチェックも強化することで、損失の発生そのものも防ぐ。

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