東京「封鎖」1カ月でGDP5%押し下げ 兵庫県立大・早大の研究グループ試算

20200409東京

 兵庫県立大学と早稲田大学の共同研究グループは、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する目的で東京23区の「封鎖」が1カ月続いた場合、国内総生産(GDP)を約5.3%押し下げるとの試算を発表した。食品などの生活必需品以外で、東京23区にある企業と、その外側にある全国の企業との間で製品供給がストップすることを想定。1カ月間で東京23区での生産減が9兆円、23区外での生産減が18兆円になり、全国への波及が大きくなることが明らかになった。(写真は東京の風景=資料)

 共同研究グループでは、メーカーや顧客が需要・供給を変化させたときに、関係先の企業がどう対応するかを示したモデル(方程式)を開発。日本で稼働している企業の大半をカバーした東京商工リサーチが持つ約160万社のデータを活用し、日本のサプライチェーン(供給網)関係にモデルを当てはめて試算した。生活必需品を除く東京23区の企業が経済活動をストップした場合に、どのような変化があるか、さまざまな条件でシミュレーションした。

 シミュレーションによると「封鎖」の初日から、全国の多くの企業で影響が出始めるという。1週間継続すると東京23区の生産減が約2億1700万円で、それ以外の全国の生産減は1億5600万円になる。だが2週間が経過すると減少額は逆転し、23区が4億3300万円で、それ以外のほうが5億100万円と多くなる。東京には供給網のハブ(中核)になる企業が多く、封鎖が長引くほど全国への波及効果が大きくなることが浮き彫りになった。

 早大の戸堂康之教授とともに試算値をまとめた兵庫県立大の井上寛康准教授は、試算結果について「ワーストケース(最悪の場合)」だと説明。「1カ月あれば企業努力によって新たなサプライチェーンが構築される可能性は高い」と指摘する。ただ、シミュレーションは日本経済における東京一極集中のリスクを改めて示した形だ。外出自粛によって、テレビ会議やテレワーク、クラウドなどを活用した時間や空間を超えた働き方が普及する中、拠点機能の分散も話題になるかもしれない。

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