ケンミン食品の高村社長に聞く「健康志向にビーフンが合う」 30年に100億円目標

20200315高村ケンミン食品社長

 3月8日に創業70周年を迎えたケンミン食品(神戸市中央区)の高村祐輝社長(1枚目の写真)に、足元の事業環境や今後の展望を聞いた。「ケンケンミンミン、焼ビーフン」などユニークなテレビCMでも知られるビーフンの国内最大手だ。高村社長は、国内で販売を伸ばす余地があるとみる一方、注目される「グルテンフリー」を強みに海外展開も開始。向こう10年間で売上高を25%増やす目標を掲げる。

 ——創業70周年を迎えて、事業環境をどう見ていますか。

 「食品市場全体としては、大胆な移民政策でもない限りは国内の人口減少によって縮小するというのが一般的な見方だと思います。しかし、ビーフン市場だけでみると、2014〜18年という6年間でみて20%増加したという実績でした。年間1億食が売れている市場です。現状は年に2〜3回、ビーフンを食べるヘビーユーザーの方に支えられているのが現状です」

 「1960年に発売した味付き、即席ビーフン『ケンミン焼ビーフン』が最も売れているのは九州地方で、人口比の売上高が最も大きいのは福岡県です。関西でもよく売れていますが、関東圏、東日本では、それほど認知度が高くありません。消費量も西日本に比べれば東日本は半分程度で、西高東低のマーケットです」

 ——これまで、どのように認知を獲得してきたのでしょうか。

 「九州ではビーフンの発祥地である台湾に地理的に近いこともあり、長い間支持されているのは、食文化として定着したということだと思います」

 「1980年代ごろまでは『まず食べてもらう』ということで、試食販売を重視していました。当時は試食販売を担当する専門の社員もいて、全国のスーパーマーケットなどで試食販売を展開しましたが、80年代になって試食販売の効果が薄れてくるという時代の流れがありました。そこで当時、食品業界では珍しかったテレビCMに現在の会長が乗り出しました。低予算でしたので何度も放映できないため、1回で覚えてもらえるような面白いCMにしなくてはと、ご存じのような内容になりました」

 ——今後はどのように国内販売を拡大しますか。

 「まずは機能面です。ケンミンの『お米100%ビーフン』は食後の血糖値の上がり方を示す『GI値』が玄米や、そばよりも低いという低GI食品として、健康意識の高まりに応えることができます。これまでも一緒にたくさんの野菜を摂れるなど、便利な食品として使っていただいていますが、機能面でもいまの消費者の健康志向に合っていると思います」

 「次に用途の拡大です。単に野菜と炒めて焼ビーフンにするとか、中国風の汁ビーフンにするだけでなく、新たなメニューを提案していきます。1日1レシピということで、ホームページを随時更新しています。これまでに私も4つほどレシピを考えました。ビーフンの乾めんや、コメのめんのパスタなどを新ブランド『お米のめん』シリーズとしてブランド化したのも、多様な使い方を意識したためです」

 「さらに創業70周年の企画として、10人ほどの著名なお店のシェフに新たなビーフンの可能性を見出していただく『ビーフンPower Session』に取り組みます。加えて47都道府県ミンの焼ビーフンとして、地域の特産品などを使ったレシピと一緒に47種類の地域限定パッケージでの販売も予定しており、各地の地域貢献にもなると期待しています。兵庫県ミン版は5月に発売する予定です」

20200315米国版焼ビーフン

 ——1月には「焼ビーフン」の米国への輸出も始めました。

 「当社のビーフンは現在全量をタイの自社工場で生産しています。ビーフンの原料は日本で多く作られているジャポニカ米とは異なり、インディカ米(長粒種)なのですが、1960年代後半以降はコメの輸入ができなくなったことから、タイでの生産に切り替えました。米国への輸出もタイからになります。ただ日本で販売している製品と同様に、鶏や牛をベースに味付けすると米国に輸出できないのです。そこで魚介類のダシでほぼ同じ味を再現して出荷を始めました」(2枚目の写真=ケンミン食品提供)

 「また米国のグルテンフリー認証団体の認証を取得しています。実をいうと数年前、米国に視察に行ったとき、すでに高級スーパーだけでなく、量販店にもグルテンフリーの売り場が作られていたのを見て、当社も急がないと出遅れると考えていました。一方で、米国には日本の3倍ほどのビーフン市場があり、安価な他社製品も出回っています。それらは製造コストを抑えるために少し小麦粉を使っていることもあります。グルテンフリーの高付加価値の食品で、なおかつ味が付いていて野菜と炒めるだけで、世界一簡単に食べられるビーフンという位置付けで、米国でも当社の『焼ビーフン』が受け入れられると考えています。販売価格は2ドル台の見込みです。高級スーパーを中心に国内よりも高い価格でありながら、他社のグルテンフリー商品や日本食商品よりも手に届きやすい価格となっています」

 ——今後の収益目標は。

 「2030年には100億円を目標に置いています。現在の売上高は約80億円ですので、国内と海外で、それぞれ10億円ずつ伸ばす計画です。海外では米国のほか、ドバイでも焼ビーフンの販売が始まり、手ごたえを感じています。売上高が100億円に届くころには、東南アジアでも販売し、日本の会社がつくったビーフンが本場に帰ってきたと、話題になりたいと思っています」

 高村祐輝氏(たかむら・ゆうき) 1982年生まれ。2005年3月、関西学院大学経済学部を卒業。同年4月に京セラ入社。08年6月にケンミン食品入社。11年9月にタイ現地法人で社長、15年5月に取締役、19年5月に社長。兵庫県出身。

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