「社長に逆らえない」が招いた破綻 元スカイマーク社長の西久保氏が神戸で講演
- 2020/02/19
- 01:26
スカイマークは2012年3月期に単独経常利益が157億円と、3期連続で最高益を更新した。「しかし、破綻する原因は、このときから始まったような気がします--」。こう話すのは、2004年1月から、経営破綻した15年1月までスカイマークの社長を務めた西久保慎一氏(写真)だ。西久保氏は18日に、神戸経済同友会の企業価値向上委員会が神戸市内で開催した講演会で講師を務め、「創業・上場・破綻」をテーマに話した。初めての会社勤めからスカイマークの社長就任と破綻を経験し、さらに現在の会社を起業するまでを振り返った。
スカイマークの破綻について「どこに原因があったと思うかはよく聞かれるが、これという(特定の)ものはない」という。「ほんの少しのズレが少しずつ積もって、最後には大きな間違いになってしまうような感じだ。気付いた時には、身動きが取れなくなっている。しかし、それに気が付いていなかったのは自分だけだった」。当時の西久保氏は社長として「裸の王様」だったという。業績を改善して、社員の給与水準も引き上げた。厳しいことも言ったが社員に報いて不満が減ったと思っていた。だが、本当は社内が「社長には逆らえない」というムードに染まっていたと分かったのは、スカイマークを去った後だった。
部下からの報告には大幅な「忖度(そんたく)」が加わるうちに、経営判断も正しくなくなってしまう。そうした中で「大型機の導入に踏み切った。あとは報道の通り」。航空大手が子会社を通じ、相次いで参入したLCC(格安航空会社)との競争激化に加え、円安による運航コストの上昇でスカイマークの業績が悪化。さらに円安は航空機の価格上昇にもつながり、西久保氏が購入をめざした大型機のメーカー、エアバスとの交渉がまとまらず、違約金の負担の重さにスカイマークは経営破綻する。
経営破綻後はしばらくメディアの取材にも応じず、自宅に引きこもった。自信も失っていた。だが、元スカイマーク株主や元部下のスカイマーク社員から励まされ、西久保氏は15年8月に現在の会社「クイックウェブ」を起業。写真とテキストがあれば毎月数百円で、簡単に店舗や会社のホームページが作れるサービスだ。ビジネスマンとして、また経営者として「しゃかりきにやってきたが、もっと気楽にやって世の中の役に立つこともできるのではないか」という。現在の会社では「大きな売上高もめざしていない」と話していた。
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