RPAで時間短縮、若手の「やりがい」も大きく 神商で住友ゴムの事例紹介
- 2020/02/06
- 01:01
神戸商工会議所は5日、働き方改革や人手不足などを背景に関心が高まっている、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)についてセミナーを開催した。セミナーでは実際の導入事例として、住友ゴム工業の中西恒彦RPA推進室課長が講演。「複雑なプロセスを自動化する場合は慎重に、柔軟に取り組む必要がある」「なんのための業務かを見直すきっかけにする必要もある」といった、RPAを導入する際に注意することなどを経験から語った。
住友ゴムでは2018年の第2四半期(4〜6月期)から経営企画や経理などの間接部門で導入を開始した。最初はRPAの「威力」を確認するために、複雑で時間がかかる作業にチャレンジした。グループ各社から集める連結データを集計するのは、表計算ソフトのあらゆる「技」を駆使しても毎月17時間かかっていた。これがRPAによって、約20分で完了と大幅な時短に成功。ほかにも成果が確認できたことで19年4月にRPA推進室を発足させ、営業部門や生産部門も含めた全社にRPAの展開を始めた。現在は16件のRPAが稼働中で、18件が開発中または開発予定。作業の正確さが高まるうえ、合計で月間989時間の業務削減効果が得られる見通しだ。
ただ住友ゴムがRPAの導入に取り組んだのは、必ずしも働き方改革の側面だけではなかった。本来の業務であるデータ分析や企画に手をかけたいのに、集計作業に追われて時間がなくなっているという若手社員の不満が底流にあったという。IT機器に慣れた若手社員は「こんなことシステム化できるだろう」と思いながら作業に時間を費やす一方、その苦労に高位の役職者ほど気づきにくいという面がある。若手社員の「やりがい」の回復につながると判断したのが、RPA導入を検討する大きな要因の1つだった。
セミナーは大きな関心を集め、当初は50人程度の参加者を募集したところ、100人を超す申し込みがあったという。当初は会議室で開催する予定だったが、神商ホールへと会場を変更した。住友ゴムが導入事例を紹介したほか、RPAの販売会社である、さくらケーシーエス、コベルコシステム、日本事務機の3社がそれぞれ取り扱うRPAの特徴や導入実績、販売価格などについて説明した。参加者らはメモを取るなどして、熱心に耳を傾けていた。
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