(解説)ネコノミクス最前線は「共生」めざす 神戸市で初の動物愛護フェス

20191017ネスレ日本ネコのバス

 神戸市の動物愛護協会などで構成する実行委が22日に、しあわせの村(神戸市北区)で開催する「第1回動物愛護フェスティバル」は、協賛企業だけでも22社と多くの民間企業が関わっているのが特徴だ。これらの多くは動物愛護活動への協力を単なる社会貢献にとどめず、同時に事業機会の拡大につなげたいと考えているようだ。こうした企業の収益拡大は、さらなる動物愛護活動の継続につながる。神戸はネコとの共生を全国に先駆けて条例化した動物愛護の先進地域。こうした動物と、経済という人間の営みとの共生は、イヌを抑えて最も好まれるペットに躍り出たネコを巡る経済「ネコノミクス」の新たな動きとして全国に広がる可能性もある。

 フェスティバル当日は、長寿犬猫の表彰や、警察犬や盲導犬など働く犬の紹介、しつけのデモンストレーションといったステージイベントを開催。同時に実施するイベントとして、ネスレ日本による「ネコのバス」(写真=ネスレ日本提供)を活用した保護ネコ譲渡会、売り上げの一部が飼い主探し活動の支援などに回るフェリシモ「猫部」の商品販売、あいおい日生同和損保によるペット保険の紹介などが計画されている。いずれもペットと人間が、ともに長く暮らすのをめざす民間企業の活動だ。

 ネスレ日本の「ネコのバス」は直接的に同社の収益に寄与するわけではないが、同社はモンプチやフリスキーといった著名ブランドのキャットフードのメーカー。ネコのバスの活動が積極的に目立つことで、全国的にネコの飼い主が増えればキャットフードの市場拡大につながるというわけだ。さらに望まれない殺処分も減らす地域課題の解決にもなる。ネコのバスは2018年4月に活動を開始し、開催した保護ネコの譲渡会はすでに10回を超えた。飼い主が増えてキャットフードメーカーとして収益が持続することで、ネコのバス事業も継続できるという循環になっている。

20191017神戸市ネコの殺処分頭数

 今回の協賛企業には、富士フイルムが今年設立した動物の検体検査やエックス線撮影などを受託する富士フイルムVETシステムズや、独ベーリンガーインゲルハイムのグループ会社で動物向け医薬品を扱うベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパンといった製薬会社など、動物医療の関連企業も目立つ。ペットの長寿化もあって、ペットフードやペット用品に加えて動物医療が新たな成長分野として地位を固めつつあるのも、多くの協賛企業が集まった要因だ。ペット保険もその一部といえそう。

 狂犬病予防法で予防接種が義務付けられるイヌと異なり、実態が把握しにくかったネコについて「人と猫との共生に関する条例」を神戸市では、いち早く成立させた。17年4月の条例施行をきっかけにネコの殺処分は大幅に減り、18年度は225頭。15年度の673頭と比べると3分の1になった(グラフ)。ただ、殺処分ゼロをめざす動きは今後も継続するとみられる。そこに企業活動が組み込まれていれば、勢いはより強力になるだろう。ネコに関する条例やルールを定める自治体が増える中で、「共生」をキーワードにした新たなネコノミクスの動きが見えてきた。
(神戸経済ニュース 山本学)

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