(解説)神戸の企業もLGBT対応が進む 社内の「多様性」重視が浸透へ

20191014LGBT研修

 神戸市に立地する企業の間でも「LGBT」と呼ばれる性的少数者への対応が進んでいる。アシックスは、LGBTの人が働きやすい企業か評価する「PRIDE指標」で国内のスポーツ会社では初の最上位「ゴールド」の格付けを得たほか、川崎重工業も2年連続ゴールド。一方で、米系製薬大手の日本イーライリリーは「配偶者」を法的な婚姻関係にとらわれず、社内ルールでのみ認識するよう制度変更するなど先を行く。すでに生命保険の受取人に同性パートナーが選べる保険もあるほどとあって、必ずしも日本の中での最先端の動きとは言えない。だが、もともと神戸の街は多様性には柔軟に対応してきた歴史があるだけに、個人を尊重する企業の動きも広がりそうだ。(写真はアシックスのLGBTに関する研修の様子=同社提供)

 アシックスは7月から、慶弔休暇を取る際や、福利厚生を利用する際の「配偶者」について、事実婚の相手も認めることとし、相手は同性パートナーでも可能であることを規則に明記した。かねて同社の行動規範では人種、宗教、年齢、信条などのほか、ジェンダーや性的指向で雇用機会を差別しないと定めていた。これに「性自認」(自ら性別をどう認識するか)も加えて強調した。川重は社内で「LGBTハンドブック」を配布しているほか、性的指向なども相談できる社外窓口「こころのケアなんでも相談窓口」を設置。誰もが働きやすい企業風土をめざす。

 こうした動きの背景には、多様性がイノベーション(革新)の原動力になるとの見方がある。差別を排せきするという社会的な動きというだけでなく、違う物の見方をする人が社内にたくさんいることで多様な見方が交錯し、「新たな発見」を自ら生み出すことにつながるからだ。新たな発見は新商品や新サービスに結びつく可能性が相対的に高く、そのチャンスを取りこぼさないようにするのが人材の多様化というわけだ。もちろん多様化さえ進めば安泰というわけでないが、多様性の乏しい中では次のステージに進めないという見方は広がっている。

 もとより神戸では多様性に対して柔軟に対応してきた歴史がある。外国人居留地の整備が遅れたこともあり、日本人と外国人の両方が住む広大な雑居地が神戸では指定された。そこでは、さまざまな宗教や民族の人たちが隣り合わせて住んでいた。現在でも中央区の北野一帯には200近くの宗教施設があるのはその名残りだ。自分たちが尊いと思うものでも、他人の価値観を邪魔しないよう譲り合い、互いの存在を認め合うことで共存してきた。たとえば神戸が「真珠の街」「ジャズの街」「洋菓子の街」になったことや、神戸ビーフが有名になったのは、その果実だと言ってもよいだろう。

 そうすると、どうしても気になるのは神戸市立東須磨小学校で発覚した教員間の「いじめ」問題だ。いじめは基本的に、違う価値観を認めない、個人を尊重しない態度の表明だ。個人が互いに認め合うようになるための最も近道は苦楽を共にすることだから、小中学校では盛んとされている阪神淡路大震災の伝承も、うわべだけかと心配になる。さすがに激辛カレーを無理やり食べさせるのは珍しい事例だろうが、神戸の教員業界で生きていくには周囲との同質性、均質性が求められるのなら、それを見て育つ子供たちには当然ながら悪影響。神戸経済の将来にとっても大きなマイナスだ。

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