神戸市制130周年 久元市長に聞く(2)「交通の要衝として優位性を回復」

(1)から続く

--いまの神戸の弱みは何でしょうか。

 いまの神戸の弱みは、人や物の流れが、港から空港に移ったということの結果だと思います。そうした動きは、すでに震災前にも始まっていたといえます。港の役割が縮小していったのと同時に、神戸の街を潤していた「山を削り、海を埋め立てる」というプロジェクトも終わりが見えてきた。

 同時に海外との競争という観点では、国が大きな社会資本投資を行わなくなりました。港だけを見ても、韓国も中国も国家プロジェクトとして大規模港湾を建設する時代に入ってきました。一方で日本は「ふるさと創生」などで、むしろ地方港湾を重視しました。韓国、中国、香港、シンガポールなどが、国家主導による集中投資に舵(かじ)を切った1990年代、日本の政府は国土の均衡ある発展の名の下に地方港湾の整備を重視して、投資を分散させていたのです。

20190727久元市長2
インタビューに答える久元市長

 そうした流れからみて、絶頂期の神戸を震災が襲ったのではなく、すでに震災前には転換点を迎えていたのではないでしょうか。海外の港に追い上げられていたことに、当時は気づいていなかったのかもしれない。そして街を発展させる「株式会社神戸市」の手法も、フロンティアを失っていきました。削るべき山はなくなり、埋め立てるべき海がなくなっていた。そういう株式会社神戸市の経営手法が、震災が起きる直前の1990年代前半までに、一種の限界に到達していたのではないか、と思います。

 そうした局面での阪神淡路大震災の発生だっただけに、神戸経済にも大きなダメージになってしまったのではないでしょうか。

--震災復興が一巡したとすれば、今後は「弱み」をどう克服すればよいのでしょう。

 まず第1に考えるべきことは、神戸の強みをどう高めていくのか、ということでしょう。神戸は港として発展してきたということは、人や物の動きを受け止めたり、生み出したりする、つまり交通の要衝で、それが神戸の強みです。独占的な地位こそ失われましたが、神戸港では現在でも日本の中で重要な港湾です。このほか、私鉄を中心として鉄道や公共交通網の充実は圧倒的です。昔も今も、神戸が交通の要衝であり続けたことは変わりません。

 陸、海、空の交通の要衝としての神戸のポテンシャルを飛躍的に向上させるということ。これが神戸の弱みを克服するための最も大事な要素だと思うのです。したがって国際コンテナ戦略港湾を推進し、神戸空港の利活用を図り、大阪湾岸道路西伸部の着工に踏み切り、神戸西バイパスの整備を有料道路化し、ということで、陸、海、空の交通の要衝として優位性を回復させるというのが答えです。

 さらに、6つの駅がある三宮の再整備も重要です。三宮は広域交通と域内交通の両面を結びつける結節点です。神戸空港や大阪湾岸道路は、西日本全体の人や物の流れに関わるプロジェクトです。新たに建設するバスターミナルは西日本最大のバスターミナルになりますが、これで航空機や中長距離バスを利用する人をスムーズに、国内でも有数の充実した域内交通である鉄道に結びつける動線ができます。当然、域内交通のみを利用する人にも便利になります。

 同時に三宮の整備全体について触れると、「神戸を大阪のベッドタウンにしない」というのが最大の目的です。交通の要衝としての機能を高めるとともに、オフィスと商業施設を新たに供給します。商業・業務機能の集積を強化し、神戸が経済都市として成長を続けるためのインフラを提供します。バスターミナルの高層階もオフィスが中心です。神戸に居住都市として魅力を感じている人が多いのは承知していますが、そこには純化せず、大都市として成長をめざそうというビジョンです。

20190727北神急行谷上駅
北神急行電鉄の車両・谷上駅にて

 あわせて街づくりの観点から、きわめてせまいエリアに非常に多くの人口が居住することになる高層タワーマンションには問題もあります。災害対応を考えても、大地震が起きたときに高層タワーマンションが倒壊することはまずないでしょうが、内部は被害を受ける可能性がある。家具を固定しなければ危険です。街全体としてライフラインに損傷はなくても、マンションの中で断水し、停電し、ガスの供給が止まるということはあり得る。そうすると、高層タワーマンションの中で大量の要避難者が発生するおそれがある。

 神戸はもともと市域も広くて電車や地下鉄、ポートライナーや六甲ライナーといった公共交通機関が充実しているので、わざわざ商業・業務機能の集積を阻害してまで、高層タワーマンションを都心に林立させて人口増を図る政策は適当ではないと考えています。

 駅前を中心として、神戸市域全体にバランスよく居住人口を誘導していって、そこで暮らしやすい街を作っていく。できれば職住近接のまちづくりをする。たとえば、須磨区の名谷に子育てをしながら、若いお母さん200人ぐらいが働けるような施設「ジョブシェアセンター神戸名谷」を作ります。民間でも託児施設を備えたコワーキングスペース(共有オフィス)が開業しています。こういったことを、いろんなところで進めていきたいと思います。

 また、すでにあるインフラを有効活用します。典型的な例は北神急行線を神戸市営地下鉄が買収することです。三宮・谷上間が540円から280円に下がるなど、運賃が大幅に下がることによって、谷上と、谷上で接続する神戸電鉄沿線の開発ポテンシャルが大きく高まります。そうした政策や、別の人口誘導手段なども組み合わせながら、人口減少を食い止めていきたいと考えています。総合的な人口減少対策は、年度内に改めてまとめる予定です。


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