アシックス、「METARIDE」で米国復調を強調 初の機関投資家向け事業説明会

20190610原野スポーツ工学研究所長

 アシックスは10日、同社としては初の機関投資家・アナリスト向けの事業説明会(インベストメント・デイ)を同社のスポーツ工学研究所(神戸市西区)で開催した。2月に発売した高機能のランニングシューズ「METARIDE(メタライド)」が市場で高い評価を受けたことを示し、開発を支えた研究開発体制やマーケティングなどについて説明。さらに足元で米国での販売が復調していることなどを強調した。メタライドのシリーズ品を今年10月と2020年2月に順次投入する計画も明らかにした。

 メタライドは3月3日に開催した東京マラソンに向け、2月28日に発売。エネルギー消費を従来に比べ約2割減らせる高機能シューズとして販売した。直営店やネット通販、東京マラソンエキスポ(ランナー登録所)などで、発売から1週間で合計753足を販売した。高機能ランニングシューズ全般を担当する千田伸二取締役は、国内価格が2万9000円前後と高いにもかかわらず「このような高級品で、これだけの数を売ったものは、いままでなかった」と説明。「顧客がイノベーションを求めていることを実感した」と話していた。

 販売が苦戦していた米国では、同業他社がデザインに優れたカジュアルなランニングシューズで販売を伸ばしたことを意識しすぎ、本来のアシックスの顧客だった高機能のランニングシューズを求める層を取り逃がした面があったという。販売も量販店に傾斜しすぎたと千田氏は振り返る。高機能のランニングシューズで、専門店でのシェアを取り戻し、米国での復調を一段と確実にする方針だ。そのうえで米国では250ドルで販売するメタライドのシリーズとして中級モデルを10月に、初級モデルを20年2月に発売して幅広い顧客をとらえたい考えだ。千田氏は特に中級モデルについて「専門店からの期待が高まっており、アメリカで爆発するのは間違いない」と力を込めていた。

 スポーツ工学研究所長の原野健一執行役員(写真)は、メタライドについて「エネルギーは力と移動距離の積なので、移動距離を少なくすることでエネルギーの消費を抑えられる」という発想で開発したと説明。「走行中に足首の角度ができるだけ変化ないように計算し、ソール(靴底)の独特なカーブを開発した」と話した。そのうえで本来の靴に必要な安定性やクッション性を維持する層を、靴底に盛り込んでいるという。

 事業説明会には機関投資家やアナリストのほか、記者らも含めて約60人が参加した。説明会の冒頭にあいさつした広田康人社長COOは、高機能ランニングシューズの説明を通じて「イノベーション(革新性)の源泉、強みである高い技術力をご理解いただければ」と話していた。参加者向けには説明会の後、アシックスのR&D(研究・開発)拠点であるスポーツ工学研究所の見学会も開催した。

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