(解説)交通結節点「三宮」の価値高めた阪神・近鉄の相互直通 20日で10周年

20190320阪神近鉄20周年ビスケット

 2009年3月20日、阪神の西九条(大阪市此花区)と近鉄の近鉄難波(現在の大阪難波、大阪市中央区)の間が開通。きょう20日で10周年を迎えた。尼崎〜大阪難波までを「阪神なんば線」として阪神と近鉄の線路が結ばれたのを機に、神戸三宮〜近鉄奈良の間での相互直通運転が始まった。大手私鉄が地下鉄などをはさまずに直接、相互乗り入れするのは日本でも阪神と近鉄のみ。奈良市の中心地である近鉄奈良と神戸の中心地である三宮が、乗り換えなしで行き来できるようになった。

 阪神電気鉄道の神戸三宮駅では20日朝、近畿日本鉄道との相互直通運転が10周年を迎えたのを記念したビスケットが配られた。5個入りのビスケットは表面に、阪神や近鉄の電車や沿線の風景に加え、10周年記念の企画をPRする特設ホームページに誘導するQRコードをアイシングした(写真=阪神電気鉄道提供)。ビスケットは神戸三宮駅で1000セットを用意。大阪難波駅、近鉄奈良駅、梅田駅、尼崎駅、西九条駅、大和西大寺駅でも、それぞれ1000セットずつ配布した。いまとなっては、すべて三宮から乗り換えなしで行ける駅だ。

 三宮は阪神のほかJR神戸線、阪急神戸線、神戸市営地下鉄の西神・山手線と海岸線、ポートライナーと6路線が集まる交通の結節点。以前から、大都市の中心地である大阪・梅田、京都に加え、観光地である姫路や城崎温泉にも乗り換えなしで行ける交通の要衝だった。これに大阪・難波に奈良と、乗り換えなしで行ける場所が追加された形だ。現在、神戸三宮が始発の奈良行き快速急行は、日中の1時間あたり3〜4本を運転している。

20190320阪神神戸三宮乗降人員

 神戸三宮駅の乗降人員は順調に伸びている(グラフ)。阪神電鉄によると17年11月の1日あたり平均は11万394人と、開業前である08年11月の1日平均に比べて26%伸びた。同社では「住宅の都心回帰で三宮周辺の人口増などもあると思われるが、相互直通運転も寄与している」(経営企画室)とみる。相互直通運転は交通の結節点としての三宮の価値を高めたことが、数字に表れたといえそうだ。

 大阪のキタの中心地である梅田とミナミの中心地である難波の両方に乗り換えなしで行ける場所は、両者をつなぐ大阪市営地下鉄の御堂筋線沿線などを除いてほかになかった。この点で阪神の難波延伸は画期的だったともいえる。神戸市内の三宮以東は、近畿圏でも住宅地として特に高い人気を維持できているのと、無関係ではないだろう。
(神戸経済ニュース 山本学)

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