吉野家HDの安部会長「牛丼休止も半年で軌道に乗る確信」 神戸で講演
- 2019/03/12
- 23:03
深夜に米国から電話を受けたのは2003年クリスマスイブだった。その後、役員6〜7人で開く定例の朝会までに、それぞれの立場での情報収集と当面の善後策を持ち寄ろうとメールを出したーー。吉野家ホールディングスの安部修仁会長が、社長だった当時に米国でBSE(牛海綿状脳症)の肉牛がみつかったと第一報を受けたときのことだった。
神戸商工会議所が12日に開催した経営者向けの講演会で、安部氏は講師を務め、それまで牛丼単品で全国展開していた「吉野家」が、いかにBSEに対応したかを語った(写真)。一報が入った03年12月の年末間際から、最後の牛丼を販売するまでの04年2月中旬までは1カ月強。牛丼に代わって1日に1店舗あたり500人を集められるメニューの開発は「実験の連続だった」と振り返る。
同業他社が中国産やオーストラリア産の牛肉に切り替えて牛丼の販売を継続する中、吉野家は牛丼の販売を休止したのは「いつもの味を裏切ってはいけない」との思いと同時に、「半年もあれば、うちの連中なら(新商品を)軌道に乗せられるという確信があった」からだという。そこには1980年に経営破綻した後の慎重な経営で、手元の現金が潤沢という財務面での裏付けがあった。
難局を乗り切った当事者ならではの生々しい経験談に、100人を越す参加者らは熱心に聞き入っていた。現在は会長の肩書きを持つ安部氏だが、代表権を手放した現在は、できるだけ現在の経営に口をはさまないように心がけているという。「二頭政治は組織の破壊行為」と自らを戒める。
経営の原点は安部氏が「オヤジ」と慕う実質的な創業者の故・松田瑞穂。松田が育てた「はやい、うまい」という強い個性を持ったブランドが、いかに生かされているかというのを講演会などを通じて後進に伝える日々だ。
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