(解説)10月の株式相場・下落率ランキング ドーン、トリドールなど下げきつい
- 2018/11/04
- 21:38
神戸市内に本社を置く上場企業48社の株価について10月の月間騰落率を算出したところ、最も下げがきつかったのは、地理情報システム(GIS)を利用したシステムやサービスを提供するドーン(2303)で、23%下落した。トリドールホールディングス(3397)やノエビアホールディングス(4928)が続いた。日経平均株価が約9%下落するなど相場全体が下落するなかで、台風による臨時休業や訪日客の減少で影響が懸念された銘柄の下げがきつかった様子が浮き彫りになった。
ドーンは10月11日に6〜8月期の単独決算を発表。最終損益は300万円の赤字(前年同期は1500万円の赤字)だった。同社は官公庁向けなどの販売が多く、期末の3〜5月期に収益が集中する傾向があるとはいえ、相場全体が下落するなかで個人投資家が株式市場から資金を引き上げる動きが逆風になり、下げがきつくなったもよう。個人投資家が売買の中心である新興企業向け株式市場に上場する銘柄では、ドーンと同じ東証ジャスダックに上場するカルナバイオサイエンス(4572)や、東証マザーズ上場の神戸天然物化学(4572)も上位に顔を出した。
トリドールとノエビアHDに共通するのは、訪日客の減少が懸念されたことがある。9月4日の台風21号の被害によって関西国際空港が使用できなくなり、従来通り訪日客が入国できない事態が約1カ月続いた。トリドールは11月14日に18年4〜9月期、ノエビアHDは7日に18年9月期の決算発表を予定する。トリドール は9月の国内店舗の客数減が顕著だったこともあり、業績悪化への警戒感が売りを加速させたとみられる。
19年3月期の業績予想を下方修正した川重(7012)や神栄(3004)などの下げも目立った。さらに米中貿易摩擦が懸念されたトーカロ(3433)も16%下落した。
10月は上旬に日経平均が27年ぶりに上昇。その後は反動で相場全体に利益確定の売りが出やすいなかにあって、収益悪化への懸念や、米国の通商政策に端を発する世界景気の悪化懸念が多層的に株価に織り込まれた。さらに天候要因も悪材料になり、神戸市内の上場会社の株価は厳しい局面になったといえる。10月に株価が上昇した銘柄はスタジオアタオ(3550)、アサヒHD(5857)、フジッコ(2908)の3銘柄にとどまった。(神戸経済ニュース 山本学)
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