高潮被害、経済的な損失額も算定必要 国交省の対策検討委が初会合

20180919高潮対策検討委員会

 国土交通省の近畿地方整備局は19日午後、台風21号による高潮や強風で神戸港など大阪湾の各港湾施設で被害が相次いだのを受けて、対策を検討する委員会の初会合を神戸市内で開いた。行政関係者や港湾管理者、学識経験者ら18人の委員が出席した。委員らはそれぞれの持ち場での被害を報告。港湾管理者ごとに4部会を組織し、特性に応じた対策を検討する必要があることなどで一致した。出席した委員からは「被害の全体を把握するうえでは経済的な損失額の算定なども必要」との指摘があった。

 被害状況を把握するうえで損失額の算定のほか、各自治体などが作成したハザードマップ(被害想定地図)と実際の被害が合致したかなどの検証も必要といった声が出た。現象を解明するうえでは港湾管理者と国立研究開発法人の海上・港湾・航空技術研究所が連携してシミュレーションも欠かせないとの指摘も出た。委員会の事務局を務めた近畿地方整備局は、次回会合までに指摘のあった検証作業や損害額の算定などを進める方針だ。

 一方で台風シーズンは続いており、今後も台風が日本に接近する可能性はある。このため、台風接近時には空コンテナの固定を徹底するなどの緊急対策と、地盤沈下対策や荷役設備の管理体制見直しなど時間をかけて取り組む対策との、両面から検討が必要があることを確認。高潮対策を進めるために、電力なども含めた民間が参加した体制整備が必要であることも指摘された。

 委員長を務める大阪大学の青木伸一教授は委員会終了後、記者団に「防潮堤などが効果を発揮したという点で想定の範囲内の潮位といえるが、被害が出るような場面では波や風の影響もありダイナミックな現象が起きていることが(今回の台風で)改めてわかった」との見方を示した。そのうえで「今後の方向性を早く出したい。(大阪湾以外の)他の地区にも良い情報提供になるのではないか」と話していた。

 同委員会は10月中旬に次回会合を開く予定。それまでに神戸市が事務局を務める神戸港部会を27日に開催するなど、各港部会が開かれる見込みだ。年度内に第3回会合を開催して報告書を作成するかなども含め、対策の方向性を決める。委員会の公開は冒頭のみだったが、終了後に近畿地方整備局が内容を説明した。

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