神戸市、係留中の船に電力供給を開始 新港第1・東突堤で28日から

20231116久元市長CNP

【神戸経済ニュース】神戸市の久元喜造市長は15日の定例記者会見で、係留中の船に陸上から電力供給するシステム(陸電)を新港第1突堤と新港東突堤で稼働すると発表した(写真)。第1号の船舶は海技教育機構(横浜市)の大成丸で、28日に新港第1突堤で利用を開始する。新港東突堤での利用開始は2024年4月を予定。係留中の船が重油を燃料とする船内の発電機を稼働しなくても、船内の照明や空調などを利用できるようにする。2月に公表した「神戸港カーボンニュートラルポート(CNP)形成計画」に基づく事業の一環だ。

 日本で排出する二酸化炭素(CO2)の約60%が港湾から発生していることから、港湾でのCO2削減は排出量の実質ゼロ(カーボンニュートラル)をめざすうえでもカギになる。神戸港CNP形成計画では、陸電に加え、照明のLED化など、すでに確立した技術を積極的に投入して30年には排出量を13年比で46%削減する計画を掲げる。コンテナを陸送するトレーラーの燃料なども徐々に切り替えるが、その前に係留中の船舶がCO2を排出しないようにするのが陸電の稼働というわけだ。

 神戸港を訪れる船が停泊中に排出するCO2は年間およそ2万トンという。今回2カ所の陸電を整備し、再生可能エネルギー由来の電力を供給することで、これを年180トン削減できるという。整備費用は新港第1突堤で1億1150万円、新港東突堤で2億2200万円。約3分の1が国庫支出金で、残りを港湾管理者である神戸市が負担する。長距離輸送するコンテナ船など大型船向けの陸電は、船舶による陸電の需要を勘案して整備の時期を判断する方針だ。

 課題は電気代が高いということ。21年度の実績をもとに新港第1突堤のケースを神戸市が試算したところ、重油を使って発電すれば年1700万円ほどだが、電気の使用料金は年2000万円程度になるという。神戸市では海運会社など船舶の運航者に陸電への理解を求めると同時に、50年度のカーボンニュートラルを目標に掲げている「国への支援も求めていく」(久元市長)。すでに「24年度の国への予算要望には盛り込んだ」とも話していた。

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