視覚障害者を支援するアプリ、三宮〜神戸空港の移動で実証実験 用途の広さ確認

20231116ナビレンス

【神戸経済ニュース】障害者の社会参加を支援する非営利法人(NPO)のアイ・コラボレーション神戸(神戸市中央区)は15日、スペインで開発された視覚障害者の単独歩行を支援するスマートフォン(スマホ)向けアプリ「NaviLens(ナビレンス)」を使ってJR三ノ宮駅から神戸空港まで移動する実証実験を報道機関に公開した。被験者になったのは視覚障害の2人に加え、視力には影響がない車いす利用者2人と、外国語が母語の留学生2人の合計6人。視覚障害者を円滑に誘導できるほか、さまざまな用途に同アプリが活用できるのを確認した。(写真は実証実験の様子=ポートライナー神戸空港駅で)

 アイ・コラボレーション神戸では、これまで神戸市や神戸新交通などの協力を得て、新交通システム・ポートライナーの三宮駅から「神戸アイセンター」がある医療センター駅までを案内するルートで、ナビレンスによる誘導を手掛けてきた。JR西日本(9021)に加えて今回、空港運営会社である関西エアポート神戸からも協力が得られたことで、鉄道駅から空港までという交通機関をまたぐ形のルート設定が可能になった。同NPOによると、交通機関をまたぐ誘導ルートで実証実験するのは世界で初めてという。

 JR三ノ宮駅とポートライナーの駅構内、神戸空港のターミナルビル内の床面や壁に、4色で構成する2次元バーコードのタグを配置。これらをスマホのカメラで読み取ると、案内の音声がスマホから流れる。被験者らはタグの位置が分からなくても、周囲に向けてスマホをかざし、カメラが反応して発するガイドの音声を聞いていた。4色で目立つため、肉眼で気付かないほど遠くのタグでもスマホが反応。「この先にポートライナーの改札口」「18メートル先に保安検査場」といった音声が、はっきり聞き取れたという。

 車いす利用者向けには、階段を避けてエレベーターを使うルートを案内するモードを使用した。留学生は、それぞれの母語で文字による案内を表示するモードを使用。日本語の表示が分からないときに、スマホをかざすと翻訳された案内が表示される。タグ自体に情報があるのではなく、タグに結びついた情報をクラウド上で管理する。このため工事などで状況が変わったときも、床面や壁面のタグを貼り替えることなく、ネット上で情報を修正することができる。運用次第では緊急時などに、一斉に情報を書き換えて避難誘導といったケースに使える可能性もある。

 視覚障害のある被験者は「神戸空港には初めて訪れたが、特に問題なく移動できたと思う」と話していた。特に点状ブロックが設置されていない場所で歩くのに、大きな助けになったという。アイ・コラボレーション神戸によると神戸市内では、2024年5月に開催する「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」に向けて、三宮から総合運動公園まで案内するルートで、ナビレンスのタグを充実させる方針が決まっているという。導入費用やライセンス料などを、神戸市によるクラウドファンディング(ふるさと納税)で得た資金でまかなう計画だ。

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