神戸製鋼、CO2排出25%削減する製鉄法を開発 大型高炉で実機実証

20210302神戸製鋼HBI

【神戸経済ニュース】神戸製鋼所は17日、高炉での二酸化炭素(CO2)の排出量を2013年に比べ約25%削減できる製鉄法を開発したと発表した。21年2月には約20%削減する製鉄法を開発したと発表していたが、さらに削減できる技術を開発。鉄鉱石とともに製鉄材料として投入する還元鉄「HBI」(写真=資料)の比率を一段と高めても、従来と同じ品質の高級鋼を製造したうえで、さらに一段とCO2排出削減に成功した。すでに実用化の段階にあるという。

 容積が4844立方メートルである加古川製鉄所の大型高炉で、23年4月から6月にかけて2カ月にわたって実機実証に成功したという。高炉では通常、酸化鉄である鉄鉱石を、コークスなどの炭素と高熱で還元して、鋼材の材料になる「せん鉄」を取り出す。だが、すでに鉄鉱石を天然ガスや水素で還元した材料である「HBI」を、高炉へ投入する鉄鉱石に混ぜることで、還元剤として使うコークスの量を減らし、発生するCO2を通常の高炉に比べ抑えることができる。

 HBIは子会社のミドレックス(米ノースカロライナ州)が開発した方式で生産したものを使用する。ミドレックスは天然ガスを還元剤として利用し、通常の高炉を使った鉄の生産に比べて少ないCO2排出量で、鉄(還元鉄)を生産する技術を持つ。還元鉄を押し固めたHBIをミドレックス式のプラントで生産する際に排出するCO2を考慮しても、高炉だけで鉄を生産するのに比べてCO2排出量が13%削減できる。従来は12%削減まで成功していた。

 残る課題はコストだ。ミドレックス技術を使い削減したCO2排出量を寄せ集めてオフセット(相殺)し、製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロとして販売する鋼材「コベナブル・プレミア」は、価格が通常の2〜3倍という。またミドレックス式のプラントでは還元剤として使用する水素比率を高めればよりCO2を抑えられるが、水素の価格は今後どうなるか見通しにくい。神戸製鋼は「現時点で加古川製鉄所の高炉付近にミドレックスのプラントを建設する計画はない」(木本和彦執行役員)という。

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