手術支援ロボ・ヒノトリ、シンガポールと愛知で遠隔手術を実証 「指導が可能」
- 2023/10/12
- 00:58
【神戸経済ニュース】国産初の手術支援ロボットを製造販売するメディカロイド(神戸市中央区)は11日午後、約5000キロメートル離れたシンガポールと愛知県の間で実施した遠隔手術の実証実験に成功したと発表した。シンガポール国立大に設置した手術支援ロボット「ヒノトリ」の制御機器で、愛知県豊明市に設置したヒノトリ本体を操作。同日午前に、ブタの胃の一部を切除して、十二指腸と縫い合わせる手術を実施した。
メディカロイドと藤田医科大、シンガポール国立大、ネットに関する研究者の集まりで今回国際回線を提供したWIDEプロジェクトが共同で記者会見して発表した。藤田医科大の設置団体である藤田学園の星長清隆理事長は、実証実験を終えた藤田医科大の宇山一朗教授と電話で話したところ「少し(制御機器の操作からロボットの動作までに)時間差は感じるが、普通に手術指導ができると言っていたので、今回の実証実験は成功だったと考えている」との認識を示した。
厳密に計測したところ制御機器の操作からロボットの動作まで、0.1秒程度の遅れが発生していたという。このうち約0.07秒は5000キロメートルの距離によって発生するものであった一方、残りの約0.03秒は画像の圧縮・解凍といったロボットの機能や性能を理由とする遅れだったという。このため技術面の改善で、さらに遅れは短くできる公算だ。もっとも今回の実証実験で発生していた遅れでも「慣れれば問題ないほど」(宇山教授)だったという。
日本とシンガポールを結んだ遠隔手術の実証実験は初めて。日本外科学会の「遠隔手術ガイドライン」によって現在、医療としての遠隔手術は認めていない。ただ「教育や研究それに医療が、いままでのバウンダリー(境界)を超えて力を合わせることができるという方向」(WIDEプロジェクト設立者の村井純・慶大名誉教授)は印象付けた。ヒノトリは日本に続きシンガポールでも、9月に販売承認を取得していた。
記者会見後にはシンガポール国立大に設置した制御機器を操作して、藤田医大にある手術台に置いた臓器の模型を動かし、遅延やゆらぎなど動作を確認する実証実験を報道機関に公開した。メディカロイドはシスメックス(6869)と川崎重工業(7012)が折半出資して設立。両社とも関連会社になっている。(写真は9日に撮影した藤田医大提供の動画より、画面右奥がシンガポール国立大)
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