川重やIHIはAUVなど、防衛装備庁も 最新技術が並ぶテクノオーシャン展示会
- 2023/10/06
- 05:51
IHIのブースと研究用AUV
【神戸経済ニュース】5日に開幕した海洋分野の総合コンベンション「Techno-Ocean(テクノオーシャン)2023」の展示会では90社・団体が出展し、最新技術などをアピールした。造船大手では川崎重工業(7012)やIHI(7013)が自律型無人潜水機(AUV)を出展したほか、特別展示として新明和工業(7224)は無人飛行艇、KDDI(9433)系が世界初の「水空合体ドローン」を展示した。神戸市や阪神国際港湾は、神戸港の国際競争力などを強調していた。
IHIは展示会場の入り口付近の大きな場所を確保。研究用AUVの実機を展示した。実際のAUVは受注に応じて必要な機能を取り付けて納入するので「手元に残らない」ことから、研究用のAUVを展示。約50センチの直径で長さは約5メートル。ソナーなどの音響センサー、カメラなどの光学センサーに加え、流向流速、水温、電導度などの多様なセンサーを搭載し、テストができるという。最大速力は5ノット以上、航続時間は24時間以上だ。
川重のAUV模型
川重はAUVの模型を展示した。AUVを活用するうえで最も大きな課題の1つは「海中では電波を使って通信できない」という点だ。これをAUVの制御については人工知能(AI)による自律航行(自動運転)で克服したとしても、残るのが水中で収集したデータをどう母船や陸上に送るかという課題だ。川重は水中に母船と有線で通信する「ドッキングステーション」を設置することで、充電やデータ回収のためにAUVが海面まで戻る必要性をなくした。
防衛装備庁のUUV模型
防衛装備庁は開発中の「UUV(無人航走体)」を紹介。AUVをモジュール化し、制御用の情報を収集するセンサーを搭載した「頭部」と、電池・推進器を搭載した「エネルギー・尾部モジュール」で、交換可能な「追加モジュール」をはさみ、さまざまな機能を搭載できるようにして幅広い用途での活用をめざす潜水機だ。このほか基礎研究を民間委託する「安全保障技術研究推進制度」について説明するパネル展示・資料配布も実施した。
神戸市のCNPに関するパネル展示
神戸市は、神戸港で進めている水素の活用を中心としたカーボンニュートラルポート(CNP)を軸に展示を構成。二酸化炭素(CO2)実質排出ゼロに向けた取り組みを通じて、神戸港の国際競争力を強調した。海洋人材育成を目的とした英アバディーン市との連携についてもパネル展示。このほか神戸市立栽培漁業センターも、活動状況などをパネルを使って説明した。
新明和の無人飛行艇
阪神国際港湾は船舶へのLNGの供給体制と、コンテナターミナルの効率化を目的とする新システム「CONPAS(コンパス)」について展示。神戸港と大阪港で現在試験運用中のCONPASには、コンテナトレーラーのドライバーが携帯端末から車内でコンテナの状況を確認できる阪神国際港湾の独自機能を設けた。本格導入時にはトレーラーの8〜9割がCONPASを取り入れて、ターミナル前の渋滞解消などにつなげる。
KDDIスマートドローンの水空合体ドローン
特別展示は新明和工業とKDDIスマートドローンが出展。新明和の無人飛行艇は、電池式で従来30分ほどだった航続時間を、エンジンを取り付けることで2時間程度に伸ばし、より実機に近いテストができるようにした。KDDIスマートドローンの水空合体ドローンは、潜水機を必要な場所までドローンで運搬するシステムだ。今後日本全国で老朽化が顕著になる、橋脚や護岸といった水中インフラの点検で利用できるようにしたい考えだ。
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