(解説)アシックス・神戸鋼など最近上昇した銘柄ほど下げ 日経平均711円安

20210604MKTワッペン

【神戸経済ニュース】4日の東京株式市場では日経平均株価が大幅に下落した。前日まで4日続落したことで需給の悪さを意識した国内外の投資家の間では、利益確定の売りが急がれたほか、高値で日本株を買った海外勢が損失覚悟で見切り売りを出す動きもあったようだ。神戸市に本社を置く銘柄でも、アシックス(7936)や神戸製鋼(5406)など、このところ上昇が目立っていた銘柄の下げがきつかった。

 神戸市に本社を置く銘柄の中で、4日の最も値下がり率が大きかったのは日本製麻(3306)だった。この銘柄は宮森宏和前社長が創業者であるゴーゴーカレーグループ(金沢市)による株式の買い増しなどへの思惑もあって、8月30日に1049円まで上昇。8月半ばには750円近辺で推移していたのが急上昇した。足元では4日まで続落したことで、8月末の上げ幅をちょうど帳消しにする値動きになった。

20231004値下がり率

 大型株では値下がり率2位にアシックス、4位に川崎重工業(7012)、5位に神戸鋼、7位に住友ゴム工業(5110)などが顔を出した。いずれも円安進行を追い風にしながら、日経平均が8月に入って3万2000円台を回復するなど、海外投資家が日本株の買いを増やす流れに乗った銘柄だ。アシックスは時価総額が1兆円を超え、株価は9月20日に5750円まで上昇した。だが4日終値では時価総額が9000億円の節目も下回ってしまった。住友ゴムは4日まで4日続落し、この間に145円、8.64%下落した。

 大型株がすべて売られたわけでもない。神戸市で時価総額首位であるシスメックス(6869)の4日終値は前日比132円高(+1.86%)の7217円だった。同社は24年3月期まで3期連続で最高益を更新する見通しを示してはいるが、23年4〜6月期決算を受けて8月9日に大幅下落した後は、上値の重い展開だった。このため4日は利益確定の売りを急ぐ投資家も限定的で、むしろ収益が景気に左右されにくい医療関連との見方が買いにつながったみられる。最も値上がり率が大きかったのはキムラタン(8107)で、終値は前日比1円高(+5.26%)の20円だった。

 夏場にわかに盛り上がった外国人の日本株人気が、米長期金利の上昇などをきっかけに、一気に離散したのがここまでの下落といえそうだ。米株式相場の下落もあって、米国を中心とした海外投資家のリスク許容度は低下しつつある。インフレ懸念で長期金利は一段と上昇し、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め局面が続くとの見方は根強い。日経平均は4日まで5日続落し、この間に1433円(4.60%)下落したが、自律反発的な買いで下げ止まる展開も想定しにくい情勢だ。

(神戸経済ニュース編集長 山本学)

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