川重とRITE、排ガスのCO2分離回収で試験設備が完成 舞鶴の石炭火力で
- 2023/10/04
- 02:09
【神戸経済ニュース】川崎重工業(7012)と地球環境産業技術研究機構(RITE)は、国内で初めて石炭火力発電所の排気ガスから固体吸収剤を使って二酸化炭素(CO2)を分離・回収する試験設備を建設した。関西電力の舞鶴発電所(京都府舞鶴市)に建設した施設(写真=川重提供)が完成し、報道機関に3日公開した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が委託した事業で、年内にも本格的な試験を始め、実用化は30年ごろを見込む。
今回建設したのは実用化プラントの一歩手前に当たる「パイロットスケール」のプラントだ。川重が設計・建設を担当。RITEが開発・製造した個体吸収剤を循環させてCO2を分離・回収する。石炭火力発電所である舞鶴発電所の燃焼排ガスからCO2を分離する試験を通じて得たデータやノウハウによって、実用化に向けたプラントのさらなる大型化や信頼性向上につなげたい考えだ。
吸収剤は川重が潜水艦内の空気からCO2を取り除く技術でも使っている「アミン」が主な材料。ただ多孔質の粒子状個体にアミンを染み込ませて使うことで、熱を加えて吸収剤からCO2を分離する際の温度を従来の120度から60度まで引き下げた。従来のCO2分離回収プラントでは使用するエネルギーは、約45%がCO2を分離するのに必要な熱だったため、排熱利用できる温度まで引き下げたことで大幅なコスト削減が期待できる。
19年度まで川重明石工場(明石市)で実施した実証プラントでは、1日に約5トンのCO2を吸収。吸収前に13%程度だったCO2濃度を、排出するときには2%程度にまで引き下げることができた。今回のパイロットスケールでは、1日に40トン程度のCO2を吸収すると見込む。集めたCO2はドライアイスにするなどCO2として再利用することもできる。
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