神戸鋼の社外取締役「慢心せずやっていただきたい」 データ改ざん振り返り警鐘

【神戸経済ニュース】神戸製鋼所(5406)が27日に開催した「KOBELCO ESG DAY」の一環で開催した社外取締役のパネル討論会では、2017年に発覚した品質検査データ改ざん問題からの信頼回復について振り返った。取締役会の議長を務める馬場宏之取締役(元SRIスポーツ社長)は企業理念の制定など「スピード感のある対応だった」と評価する一方で「慢心せずやっていただきたい」と述べ、24年3月期は17期ぶりの最高益を見込むなど足元で業績が改善しているのを受けた「気の緩み」に警鐘を鳴らした。

 馬場取締役は、品質検査データ改ざん問題を受けて「コミュニケーション不足や組織の構造、ガバナンス(企業統治)などいろいろな問題が浮き上がったが、これらを幹部だけでなく従業員全体で議論して問題解決に取り組んだ」と指摘した。さらに「以前は何年かに1回の赤字にも感度が鈍かった面があったと思う」との見方を示したうえで、「収益を上げて配当するという当たり前の会社をめざした」ことなどが、信頼回復の中で「大きく変わった点」と話した。

 監査等委員を務める河野雅明取締役(元オリエントコーポレーション社長)は、品質検査データ改ざん問題が発生した要因の1つでもある「組織が縦割りで、タコつぼ」であることが「(複合企業の企業価値が割安に評価される)コングロマリット・ディスカウントになる」要因と指摘。事業部やグループ会社などの横のつながりができれば、技術の融合や事業の掛け合わせが容易になり、新たなビジネスやイノベーションにもつながるとして、そうした観点を事業の取捨選択に取り入れる意欲を述べた。

 神戸製鋼はIR(投資家向け広報)を目的に例年ESG説明会を開催してきたが、今期は「KOBELCO ESG DAY」として拡大。社外取締役のパネル討論会を初めて公開で開催した。馬場氏は品質管理データ改ざん問題が発覚した17年に、河野氏は20年に、それぞれ神戸製鋼の社外取締役に就任した。

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