アシックスの富永新社長、就任打診「光栄、即答した」 記者会見の主なやり取り
- 2023/09/17
- 01:05
【神戸経済ニュース】アシックス(7936)が15日夕方に開いた、社長交代についての記者会見での主なやり取りは以下の通り。記者会見には広田康人社長(写真左)と、2024年1月1日付で社長に就任する富永満之常務執行役員(同右)が出席した。
--社長としての意気込みは。
富永 アシックスに入社してまだ6年で、それまでずっとデジタル・IT(情報技術)業界いた。そうした中で、このようなチャンスをいただいた。アシックスというスポーツブランドであり、そしてグローバル企業であり、その社長ということで非常に不安というかプレッシャーも感じているが、しっかりやっていきたい。
--富永新社長の秀でているポイントは何か。
広田 富永さんのキーワードは「グローバル」と「デジタル」だと思っている。経歴にもある通り、大学またMBA(経営学修士)を海外で取っているし、海外での勤務の経験も非常に長い。外資系企業での勤めが長いということもあり、非常にグローバル感覚に富んだ人だと思う。海外売上高は80%に到達したが、真のグローバルプレーヤーになるためには、彼のグローバルな資質、経験は非常にプラスになるだろうと思う。もう1つは、もともとデジタルの世界で育ってきた人で、経験を積んできたということ。そうした知見を生かして、われわれが力を入れている「スポーツ×デジタル」でしっかりしたチームを作りたいし、収益を高めていきたい。そのための絶好のリーダーだ。
ー-社長就任の打診を受けたのはいつか。打診があったとき、どう思ったか。
富永 2年ぐらい前から指名報酬委員会とか社外取締役から、いろんな形で面談があったので、社長候補の1人に入ってるのかな、というのは感じていた。実際に、社長の広田から言われたのが、先週の木曜日だった。そのときに思ったのは、私自身デジタル・ITを30年間やってきたというキャリアで、このような事業会社の社長というのは、非常に光栄だということだ。
--社長を引き受ける、と即答したのか。
富永 はい。即答した。
ーーなぜアシックスに入社しようと思ったのか。
富永 ずっとデジタル・ITの世界で、いろんなお客様のシステムの導入をやってきた。ただ、いつかITを事業会社でやってみたいと思っていた。そうした中で、当時は顧客として付き合いがあったアシックスと仕事をする中で、こういう会社で働いてみたいという気持ちになった。(アシックスの)前任のCIO(最高技術責任者)が退任するときに声をかけてもらい、ぜひやらせてほしいということで入社した。これが6年前のことだ。
ーー業績が好調な現状で、デジタルとグローバルをどのように変えて進めていくのか。どういうビジョンを持っているのか。
富永 この6年間にアシックスも大きく変わり、海外売上高も80%に拡大、そして利益をしっかり出せる会社になった。ただ先進国はオーストラリアやヨーロッパが収益を引っ張っているが、まだまだ我々がブランドを強くしていかなければならない。それに何といっても新興国だ。ここは当然、経済成長するが、そこに我々もしっかりと杭(くい)を入れて、次の成長をしていきたい。デジタルは、やはりチャネル(経路)だ。卸も重要だが、同時にDTC(企業と顧客の直接対話)ができる直営店とeコマース(ネット通販)はしっかり強化して、顧客との接点をより広くする。さらに物を売るだけではなく、たとえばランナーにとってはトレーニングしたり、また海外のレースに出たり、こういうところをデジタルへつなげていくことが重要だと考えている。
ーーアシックスとして、ここを強化して戦っていきたいという点は何か。
富永 まずは我々としては商品が強いことだと信じている。そのうえでランニングでナンバーワンになることだと思っている。そのために、この3年間に企業買収をしてきたし、大きなシステム投資もしてきた。すでにワンアシックス会員が800万人。またレースに出場登録するアプリの会社を買収し、そしてランニングアプリを統合するということもやってきた。実はランニングアプリ、レース登録アプリ、さらにロイヤリティプログラム(会員特典)の3つを持ってるのは、(世界大手の)米ナイキや独プーマなどを見渡しても、わが社だけだ。まずは、この強みを生かして成功したい。
ーー広田社長は趣味でランニングをしているが、富永新社長にスポーツの趣味はあるか。
富永 ランニングは正直、そんなにやってなくて申し訳ない。学生時代にテニスをしていた。ただテニスは早めにあきらめて、ビジネスの世界に入ろうと思い就職した。あと趣味はゴルフ。また最近、おなかも出てきたので、パーソナルトレーニングを始めた。
ーー尾山会長は財界活動が中心になるのか。
広田 会長は1月1日で相談役に就かれて非常勤にシフトし、社長の相談に乗るという立場になっていただく。各種の財界活動、また業界団体などの仕事もしているので、これらは先方の事情もあったと思うが、継続することになっている。
ーー「厚底シューズ」は広田社長も力を入れたが、米ナイキなどの競合も強力だ。今後の展開を、どうみているか。
富永 いろんな強いところ、弱いところがシューズにはあって当然と考えている。我々はそれだけではなく、ランナーの全体をサポートしたいと考えている。それには、どういうランナーが、どういうレースに登録するのか、また日々どんなトレーニングをするのか。こういうデータをしっかり入手し、しっかり分析して、どういうランナーがどういう靴を必要ととしているのか、また次のステップとしてどういう靴を開発しなきゃいけないのかを導き出す。ただ単に店舗の売り上げだけではなく、そういうデータをもとに、今後しっかりプロダクト(商品)を開発したい。
広田 私からちょっと付け加えさせていただくと「我々は2025年にランニングでナンバーワンになる」という目標は引き続いで富永さんにやってもらう。この目標、必ず日本、アメリカ、ヨーロッパでシェアナンバーワンなるというのは成し遂げたい。
ーー入社の際には広田社長がスカウトしたのか。
広田 そうだ。私が入社した半年後に入社してくれた。前任者が家庭の事情で急に退任するということがあり、そのときに我々と親しくしていたIT業界の方を通じて、彼を紹介してもらい、彼としても非常にやる気があるということで採用したという経緯だ。
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