国際フロンティア産業メッセ 世界の建機を操作・いろいろつかむ・鉄道で削減など
- 2023/09/10
- 23:00
【神戸経済ニュース】8日まで神戸国際展示場で開催した「国際フロンティア産業メッセ」では、環境・エネルギーの問題や人手不足などの社会課題の解決をめざす技術を多彩に展示した。水素、遠隔・自動操作、ロボット、物流など横断的に解決のヒントが展示されるのは、総合展示会ならではだろう。これまで特別展示は成長期待の大きい分野として「環境」「ロボット」「航空宇宙」「健康・医療」のうちから1つテーマを選んでいたが、今回は全分野から出品。注目された技術の実用化、社会実装が進み、分野を選ばすに紹介する必要があったようだ。(1枚目の写真は入場ゲート)
SkyDrive(スカイドライブ、愛知県豊田市)が製造した空飛ぶクルマの実機とともに川崎重工業(7012)が出品した大型展示は水素エンジンを搭載した4輪車の試作機だ。水素を「燃料」にする自動車といえば燃料電池を動力にする技術が先行したが、日本が強みを持つ内燃機関の技術を生かすのが「水素エンジン」だ。燃焼が高速で高温になる水素から高効率でエネルギーを得るには高い技術が必要だ。(2枚目の写真は水素エンジン搭載の4輪車について川重の担当者から話を聞く兵庫県の斎藤元彦知事、神戸市の久元喜造市長、新産業創造研究機構の牧村実理事長ら)
川重は特別展示とは別に自社ブースで水素エンジンの模型を展示した。内部もわかるようにして、燃焼させる際の扱いが難しい水素から、高効率のエネルギーを取り出す技術をアピールした。さらに水素を安価に調達するために、海外から液化水素を運搬する大型水素運搬船の模型(3枚目の写真)も展示。必要な技術の開発も主要なものは終了し、基本設計承認もすでに取得した。2030年までの液化水素サプライチェーン(供給網)商用化実証計画に合わせて建造が見込まれる。
神戸製鋼所(5406)のブースでは、グループの重要課題などをまとめたパネル展示とともに、傘下のコベルコ建機が重機などを遠隔操作するシステム「K-DIVE」の操縦席を展示(4枚目の写真)。構内事務所からの近距離での遠隔操作はまもなく実用化する。光回線などを使った広域での「長距離遠隔操作」は25年までに実用化をめざす。通信環境が確保できれば、1人のオペレーターが世界中の重機を操作できるようになる。熟練した乗り手の育成などに役立ちそうだ。
国際フロンティア産業メッセに今回初出展したタイガースポリマー(4231)は、ロボットハンドの先端に取り付ける柔軟指(やわらかい持ち手=5枚目の写真)を出展。柔軟性を作り出す機構を工夫したことで、ロボットの指先に相当する部分を取り替えなくても「にぎる」「はさむ」「つまむ」と多様なつかみ方で運んだり、梱包したりできる。多品種の現場や、手順が多い複数の工程に対応できるようになり、人手をかける工程の削減につながりそうだ。
公益社団法人の全国通運連盟(東京都千代田区)は鉄道コンテナの実物を展示(6枚目の写真)して鉄道貨物輸送(貨物列車)の利用を促した。従来は500キロメートルを超える長距離輸送とトラック輸送よりも鉄道がコスト面で有利になるとされてきた。ただトラックドライバー不足に加えて勤務時間管理を厳格化する「24年問題」もあって、トラック輸送の運賃が足元で上昇。JR貨物(東京都渋谷区)は24年3月のダイヤ改正で300〜400キロメートルを輸送する貨物列車を増発する方針という。鉄道輸送によって二酸化炭素(CO2)の排出量がトラックの約11分の1に抑えられる環境面のメリットも強調していた。
▽関連記事
- 関連記事
-
- ケンミン食品、北海道ホタテの「海鮮焼ビーフン」提供 中国禁輸で購入 (2023/09/11)
- 神戸空港〜JR大阪駅のリムジンバス 乗り換えなしで約70分・15日から (2023/09/11)
- 国際フロンティア産業メッセ 世界の建機を操作・いろいろつかむ・鉄道で削減など (2023/09/10)
- 兵庫県産「コラボ」商品、大阪万博への出品めざす 大丸神戸店で展示会が始まる (2023/09/06)
- 川重、水素ガスタービンの熱電併給システム 「ドライ式」で世界初 (2023/09/06)
広告
chevron_left
今週の予定・11〜18日 神戸市議会が開幕、斎藤兵庫知事が訪米など home
神戸市、つくはら湖の活用で実証実験 モニターらカヌーやメガSUPなど体験
chevron_right