(解説)神戸ルミナリエ1月開催、商店主ら前向き評価 財源対策も実施
- 2023/07/25
- 04:17
2018年の神戸ルミナリエ(東遊園地)
神戸ルミナリエが平常通り開催された2019年までは、例年300万人を超す観覧者が会場を訪れていた。ただ多くの来場者を円滑・安全に観覧させるために交通規制するほか、順路の両側には柵を設置して沿道の店舗に立ち寄れなくしていた。このため年末商戦期であるにもかかわらず、神戸ルミナリエの会期中はむしろ店舗への出入りが通常より手間取る事態が起きていた。これらが解消されることに、期待する声は多い。
神戸ルミナリエが年末のイルミネーションとして定着して以来、国内各地でも年末になるとイルミネーションの開催が増えてきた。LEDの普及もあってイルミネーションを自宅に飾る人も増え「イエナリエ」とも。そうした年末の風物詩の1つとして埋もれるよりも、1月開催のほうが慰霊・鎮魂の意義が際立つとの見方もある。さらに1月後半の開催となると、来店客数が減りがちな閑散期とされる2月に向け、集客効果への期待も出てくるという。
会場がメリケンパークにも分散されることで、市街地を回遊する人が増えることに期待する飲食店経営者の声も聞かれた。会場を移動する合間などに食事をする人も増えるのではないか、というわけだ。これまで寄付金が集まらないのも指摘されてきたが、一部を有料にすることで財源対策を実施。「一足飛びに全面有料にするよりも、より多くの人が震災を振り返るきっかけと財源対策を両立できる」との見方も出ていた。
2019年の神戸ルミナリエ(東遊園地)
1995年12月に開催した最初の神戸ルミナリエは、震災発生から1年が経過しないうちに昼間のように明るく街を照らすことで、復興に弾みをつける意味は確かに大きかったろう。ただ「毎年開催」にこだわるあまり、いわば惰(だ)性のように毎回年末に開催していなかっただろうか。鎮魂・慰霊の行事として今後も継続するためにも、毎年の行事を見直すきっかけを作ることができたのは一歩前進といえるかもしれない。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)
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