神戸市や日立など、果物の鮮度保持技術で実証実験 神戸港から香港に輸出

20230719ナノスーツ
【神戸経済ニュース】神戸市と日立製作所(6501)など6社は、新たな鮮度保持技術を投入した果物を神戸港から香港に船便で輸出する実証実験を始めた。従来は運賃が高い航空便や冷蔵コンテナの船便を使っていた果物を、通常コンテナで海上輸送することで、輸出先での価格競争力の向上をめざす。トラック運転手の勤務時間管理を厳格化する「2024年問題」の対策になる可能性もあるという。8月にかけて2回の実証実験で、実際に鮮度を維持したまま輸出できるか検証する。

 新たな鮮度保持技術は2種類を投入する。まず浜松医科大学(浜松市東区)と同大学発ベンチャーであるナノスーツ(同)の特許技術である「ナノスーツ処理」。糖やアミノ酸などの食品添加物を主成分とする溶液を果物に吹き付けてプラズマを照射することで、ナノメートルといった薄い被膜が果物を包み込み、カビの繁殖や腐敗を防ぐ(写真=神戸市提供)。そのうえで大日本印刷(7912)が開発した、電源なしで使える高性能の断熱ボックスを使う。

 実証実験では空輸が中心になっている山梨県産のブドウ10キログラムを、通常コンテナで香港へ海上輸送する。山梨県で収穫して冷蔵トラックで陸送し、浜松医科大学でナノスーツ処理をしたうえで大日印の断熱ボックスに保冷剤とともに詰め込む。さらに陸送して神戸港で通常の海上コンテナに積載。5日かけて香港に到着する。1回目は9日に神戸港を出て、13日に香港着で実施。2回目は8月6日に神戸港発、同10日の香港着を予定する。

 通常コンテナで海上輸送できれば、冷蔵コンテナで輸出するのに比べてコストが5分の1程度になる見通し。航空輸送に比べると輸送時の二酸化炭素(CO2)排出量は35分の1程度になる。将来的にナノスーツ処理が産地で可能になれば港湾などの国内輸送も、冷蔵トラックではなく鉄道や内航船などに切り替えてCO2排出削減にもつながる。ドライバー不足への対策にもなり得るというわけだ。

 日立と山九(9065)が物流のスマート化を検討する中で、日立と協力関係にあったナノスーツが浮上したという。果物の提供、香港での果物の評価、輸出入手続きは神明(神戸市中央区)が担当。断熱ボックスは大日印が、物流トレース技術はLOZI(名古屋市中区)がそれぞれ提供する。実証実験の舞台として神戸市の東京事務所が全体の調整などを担当しているという。

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