どっちの会社がもうかってる? 神戸大の学生、中学生に「利益とは何か」で授業

20230717金融模擬授業

【神戸経済ニュース】売上高から費用を差し引いて、残るお金が利益--。とてもシンプルな理屈だが、これを中学3年生に教えるには、どうすればいいのか。そして、これを知る必要があるのはなぜか。金融教育の重要性が高まっているとの指摘は多いが、なかでも第1歩になる「利益とは何か」という会計の基礎を教える60分間の模擬授業に、神戸大学経営学部の学生らが取り組んだ。教える相手は松蔭中学校(神戸市灘区)の3年生。2クラスの約50人で、全員が女子生徒だ。

 模擬授業は11日に実施した(写真)。まずは自己紹介と簡単なゲームで生徒らの緊張を解きほぐす。次にハンバーガー店を例に、人件費や仕入れ代金、家賃、水道光熱費といった店舗で必要なお金と、それを売上高によって回収する一連のお金の流れを説明。事業を始めるには元手が必要で、その元手を出すことを「投資」と呼ぶと説明した。さらに投資家が、より「もうかっている会社」に投資するには、売上高に占める利益の比率(利益率)を比較するという手法も紹介した。

 簡単な財務分析まで盛り込んだ、意欲的な内容だ。経営学部3年の河野乃愛さんは、会計の意義を語ろうと「株式会社の起源から話すことも考えたが、それでは時間がいくらあっても足りないと気づき、大幅に内容を絞り込むのに苦労した」と話す。授業の後半には、おさらいクイズに中学生が3〜4人のグループで回答。たとえば「材料費」は売上高、費用、利益のどれか、といった問題だ。「多くのグループが全問正解して、一定の手応えを得た」(経営学部4年の田川敦貴さん)という。内容を絞り込んだ成果が出た。

 学生を指導する神戸大学経営学研究科の高田知実教授は、新型コロナウイルスの影響で授業がすべてネット経由に切り替わったのを機に、自身のゼミ生たちが外部と触れ合う機会になればと金融教育の実戦を始めた。ただ「会計を知らない人が会計を知ったうえで、教えることに意義がある」とみて今年から、幅広い学生が履修できる授業として展開している。他人に教ることで案外、自分の理解が不足していたと気づくこともある。大学生の基礎的な理解の深まりが、金融知識の普及につながるなら一石二鳥といえそうだ。

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