久元神戸市長に観光を聞く(3)編集長の目 京都・大阪とは異なる観光の道を

▽インタビュー
久元神戸市長に観光を聞く(2)世界レベルの多様な「食」が長期滞在を促す

▽編集長の目
 「神戸は京都や大阪に観光で負けている」。特に神戸の経済界では、よく聞かれるフレーズだ。訪日外国人観光客の数は京都府が圧倒的に多い。「神戸は何をしているのか」という声も一部で出る中で、久元氏の主張は「比べても仕方がない」と明快だ。神戸は独自に集客する道を探る必要があるという認識は現在の神戸で、外国人を含む観光客の受け入れ体制を見渡しても納得がいくのではないか。

 新型コロナウイルスの感染拡大前を振り返ると、特に京都市街で話題になっていたのは「オーバーツーリズム」だった。観光客が増えた影響で住民がバスに乗れない、という日常。これは観光客にとっても良好な環境とはいえない。観光客であろうが住民であろうが、誰もが快適にすごせる環境があってこそ、観光客は「もう一度訪れたい」、住民は「多くの人に来てほしい」と思えるだろう。

 従って、観光客と地元の住民がともに楽しめる観光コンテンツを育成する施策は、中長期的に「神戸ファン」を増やすという意味で、観光に関する施策にとどまらず街づくりそのものだ。少し大げさにいえば人口減少対策でもある。ニューヨークでもロンドンでも東京でも大都市では、「住んでみたい」という気持ちが観光客を引き付けている。住むように旅する目的地として、都市である神戸の観光を考えるべきだということだ。

 神戸は1868年の開港以来、海外からも国内からも多くの人が集まったことが、都市としての魅力を生み出してきた。だとすれば観光を考える時も、貿易を発端に多くの人の経済活動が豊かさを生み出した150年の歴史を無視できないはず。ビジネスのために神戸に滞在する人は、快適に仕事をするため何をしているのか、休日・余暇に何をするのか。観光のことだけを考えていては、特に神戸の観光は理解しづらいというのを、改めて思い知らされたインタビューでもあった。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)

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