王子公園の関西学院大、文理融合の学生・教職員4200人に 優先交渉権者決まる
- 2023/06/29
- 20:56
【神戸経済ニュース】神戸市は29日、王子公園再整備の基本方針に基づいて公募した大学設置・運営事業者の優先交渉権者に、関西学院大学を運営する学校法人の関西学院(西宮市)を選んだと発表した。応募者は関西学院のみだったことから、同学院の提案を学識経験者による選定委員会(委員長・嘉名光市大阪公立大学大学院教授)が審査して、大学用地としての譲渡先にふさわしいと判断した。神戸市と関学大の間で育成する人材像が一致したのが、関学案の高い評価につながったという。(1枚目の図は関西学院が提案した全体イメージ=神戸市提供)
関西学院の提案によると「王子キャンパス」の学生数は4000人、教職員は200人を想定。理工学・社会科学分野が主体である三田市のキャンパスと、人文社会・教育学分野が集まる西宮市のキャンパスから、それぞれ一部を移転し、一部の教育課程は新設する「文理融合」をめざす。「未来をデザインする」かつ「未来を起動する」といった人材を育成するのが目標だ。王子キャンパスに設置する具体的な学部学科名は、移転元との調整が必要とあって現時点では明らかにしていない。
キャンパスの建物外は原則として誰でも立ち入れるよう開放し、図書館や学生食堂・カフェ、ホール・アリーナなども地域住民が利用できるようにする。王子公園の玄関として計画している「緑の広場」と一体的な植栽で、庭やテラスも調和させるなど、地域との融合も関学案を評価するポイントになったという(2枚目の図=神戸市提供)。さらに総合大学の強みを生かして社会人が学び直す「リカレント教育」、会社が人材を強化する「リスキリング」などの講座も提供する地域貢献も予定しているという。
景観面での配慮としては、大きな校舎を1つ建てるのではなく、中小規模の校舎を3つに分散して建設することで、建物の高さを抑える配慮をした。ただ選考委員会は講評で、校舎を含む建築物は色彩や緑の配置を工夫して「圧迫感を軽減するとともに、六甲山の山並みや周辺環境に配慮した施設計画となるよう」と要望。王子公園駅前や緑の広場など「主要な視点場からの景観や眺望にも配慮していただきたい」と、今後の具体的な計画作成に向けて注文を付けた。(3枚目の図に王子公園駅側からの視点イメージ=神戸市提供)
神戸市と関西学院は数日内にも覚書を結び、計画や土地の譲渡に向けた協議に入る。神戸市は秋ごろまでに事業実施計画を作成し、関西学院との間で基本協定を結びたいとしている。その後は都市計画を変更したうえで、土地の売却を市議会で議決する必要がある。大学を公募した際の応募要項通り26年度末に土地を引き渡すと、31年春のキャンパス開設になる見込み。神戸市は王子公園全体の再整備の状況を見極めながら、関西学院の要望に応じて当初計画よりも早く引き渡せるか検討する方針だ。
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