ケミプロ化成、今期税引き益69%増に 紫外線吸収剤「在庫調整」が一巡

20230510ケミプロ

【神戸経済ニュース】化製品を製造するケミプロ化成(4960)は10日、2024年3月期の単独税引き利益が前期比69%増の1億2000万円になりそうだと発表した。前期の後半にかけて苦戦した主力製品である紫外線吸収剤の販売が、今期は復調する見通し。物流正常化に伴い客先に積み上がった、紫外線吸収剤の在庫の調整が一巡する。コスト高の価格転嫁は進みにくい中で、受託製造製品を増やして採算改善をねらう。

 売上高は10%増の107億円、営業利益は12%増の4億円を見込む。新型コロナの影響で海上物流が混乱した際は、需要先企業の間で、供給不安からケミプロ化成の紫外線吸収剤を多めに注文し、需要先の手元で紫外線吸収剤の在庫を厚くする動きが広がった。ただ前期の後半にかけて物流の混乱が解消し、通常通りに製品が届くようになったため在庫調整が発生したという。需要先の在庫調整によってケミプロ化成に増えていた製品在庫を、今期は消化する。

 ただ売上高営業利益率は前期並みにとどまる見通し。足元の需要減もあって、原材料高の価格転嫁が進みにくい情勢だ。一方で大阪市内で記者会見した兼俊寿志社長は「当社の紫外線吸収剤は経年劣化するものではなく、販売先も固定している」と説明。徐々に販売を増やして、今期中に在庫を適正水準に戻すのと同時に、高採算である受託製造製品の営業を強化する方針を強調した。年間配当金は1円増配の3円(中間なし)を予定する。

 同時に発表した23年3月期の単独決算は、税引き利益が前の期比60%減の7100万円だった。需要先による在庫調整の影響で「非常に厳しい決算」(兼俊社長)になった。製紙用薬剤や酸化防止剤などの減収も響いた。売上高は微増の97億円、営業利益は35%減の3億5700万円になった。年間配当金は前の期に比べ2円減配の2円(中間なし)と半減させた。従来予定は4円50銭だった。

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