川重、今期純利益15%減に 先進国向け2輪車の減少や円高が逆風

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【神戸経済ニュース】川崎重工業(7012)は10日、2024年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比15%減の470億円になる見通しだと発表した。先進国向け2輪車の伸びが鈍化するほか、販促費の増加などで稼ぎ頭になっていた事業分野(セグメント)の「パワースポーツ&エンジン」が減収減益になるのが響く。新型コロナウイルスの影響で低迷していた「航空宇宙システム」セグメントの復調がより鮮明になるが、補いきれない見通しだ。

 売上高に相当する売上収益は10%増の1兆9000億円、償却費などを含まない本業の利益である事業利益は事業利益は9%減の780億円を見込む。航空宇宙システムの売上収益が912億円伸びて増収をけん引すると見積もる。ただ業績予想の前提とする為替レートは1ドル=130円を想定。前期の133円96銭よりも円高・ドル安水準に設定したことで、事業利益は約100億円が押し下げられる計算だ。為替影響を除くと、売上収益の増加を受けて28億円の事業増益になるという。

 売上収益は、国際会計基準導入前の売上高を通じて2期連続の過去最高を見込む。セグメント別ではパワースポーツ&エンジン以外の全5分野で増収を見込む。航空宇宙システムは足元で、ボーイングから運航会社に787型機の引き渡しが再開したことで、生産現場の稼働率向上による採算改善も期待できる状況にあるとみている。年間配当金は前期比10円減配の80円(うち中間40円)を予定する。

20230510川重セグメント

 同時に発表した23年3月期の連結決算は、純利益が前の期比4.4倍の550億円になった。過去最高を更新。航空宇宙システムでは旅客需要の回復と円安が追い風。パワースポーツ&エンジンも堅調なアウトドア需要と円安が寄与して、同社全体の大幅な増収増益につながった。売上収益は15%増の1兆7256億円、事業利益は2.8倍の852億円になった。権利確定済みの期末配当金は60円と、従来予定の40円から積み増した。年間配当は前の期比50円増配の90円(うち中間30円)とした。

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