神戸ABCの旅(15)「O」岡場

●第15回 「O」岡場

 シリーズ「神戸ABCの旅」の第15回です。神戸の地名をアルファベット順に1カ所ずつ訪ねていくうちに、長らく離れていた神戸の土地勘も戻るのではないかという企画です。連日で更新することで、やる気を表現しているわけです。消化するというと言葉は悪いですが、早く最後の「Z」にたどり着きたいという気持ちでいっぱいです。というわけで今回も、お付き合いください。

 「O」に岡場を選んだのはちょっとした因縁で、北神区役所がある場所を、いつか訪れる必要があるだろうと思ってはいました。ネットを通じて神戸市の市政・施策に関するアンケートに答える「ネットモニター」の数十人が、実際に市長と対面してQ&Aの時間を設ける「ネットモニターと市長の対話フォーラム」というのがあります。いまでこそマスコミ各社が集まるのが恒例になっているのですが、僕が神戸経済ニュースとして初めて取材した2018年6月の第2回の「対話フォーラム」に、他社の記者はいませんでした。そのときに久元喜造市長が「事実上の分区です」と話したのを覚えています。

20230506北神区役所
北神区役所が入居しているビル

 神戸電鉄の岡場駅前にある北区役所の北神支所を区役所に格上げし、北神8地区を担当する「北神区役所」にする。これによって北神8地区の住民は、三宮に行くよりも時間がかかる鈴蘭台の北区役所まで出向かなくても、すべての手続きができるようになるという計画でした。「しかし実際に新しい区を作ると住所変更などで大変ですから、住所は変更しません。1つの区に2つの区役所があってもいいのか。調べてみると法律的には何の問題もないことがわかったんです」。確かに、そういう話をしていました。

20230506北神区の施設
北神区文化センター「ありまホール」

 対話フォーラムの内容はオンレコ(オン・ザ・レコード、特に制限なく報道・記録可能)だというのは事前に確認していました。北神区役所の開設が発表されたのは、対話フォーラムから3カ月後なので、書けば大ニュースだったし、もっと注目されて区役所が2つある区として「珍百景」とかが取材に来たでしょうに。ただ普通の市長なら、そんな大それたことを事前に気軽に言うわけないので、すでに発表済みだったんだろうと勘違いしてしまいました。久元市長を甘くみていたのでした。

 神戸に帰ってきて間がなかったとはいえ、記者としては痛恨のミスでした。決して久元市長を甘く見ていたわけではないのですが、すみません。そんなわけで(どんなわけで?)北神地区の中心地になった岡場には、足を運ぶ必要があったのでしょうが、それまでに何年かかったんだ、という話でした。北神区役所の近くには、神戸市の施設「北神区文化センター」があります。まるで「北神区」という区が存在しているかのようです。

20230506産業団地
造成中の産業団地「山口町阪神物流センター」は西宮市内
(訂正)マルチテナント型物流施設「CPD西宮北」開発用地を造成中

 北神区文化センターと岡場駅の間にあるのは、エコールリラというショッピングセンター。駅に面した入り口は1階。駅と反対側の入り口は5階。エコールリラの建物の側面には、急な坂道が伸びています。神戸電鉄が有野川の谷筋に敷設されたのだな、というのがよく分かる場所です。有野川の谷筋といえば、そもそも有馬街道が走っていて、線路を敷設する場所として他の選択肢はなかなか難しかったのかとは思います。

 エコールリラの5階から岡場駅に向かって坂道を降りる途中、正面に見えるのは、山口町阪神流通センター(西宮市)です。(差し替え)マルチテナント型物流施設「CPD西宮北」(神戸市北区)開発用地を造成しているのが見えます。神戸周辺の内陸部は物流施設に大人気なのです。近畿圏全体を視野に荷物を集配できるうえ、中国道や明石海峡大橋と大鳴門橋のおかげで四国への集配拠点にもなる。関西と瀬戸内の結節点は神戸、というのは陸路ではすでに常識になりつつあるわけですね。

20230506にぎわう有馬街道
にぎわう有馬街道

 岡場から田尾寺に向かって有馬街道を歩いていて思うのは、何でもそろっているな、ということでした。車社会だろうからカーディーラーの店舗があるのは当然かもしれませんが、光岡自動車(富山市)まであるとは、びっくり。メダカの無人販売とか、焼き鳥の冷凍自販機とか、お約束の丸亀製麺以外にもロードサイドの飲食店がずらりと並んでいます。比較的新しいマンションもいっぱい建っていて、すでに1つの小さな経済圏があるという印象です。物流団地ができて、近くに雇用が増えるのであれば、この地域の人口が増える希望を持っていいのではないか、という気がしてきます。ただ長い目で見れば、物流倉庫は完全自動化に向かうのでしょうが……。

20230506いちごティラミス
いちごのティラミスとアイスティー

 途中、岡場駅近くの「ナチュレ」さんで、いちごのティラミスとアイスティーをいただきました。珍しいですよね。いちごのティラミス。たぶんマスカルポーネとスポンジは普通のティラミスと同じなのですが、いちごの甘酸っぱさがアクセントになっていました。

(神戸経済ニュース編集長 山本学)

追記(2023/05/09)
 こちらの認識不足で、エコールリラから見えた造成中の土地を西宮市だと思い込んでいましたが、実際はぎりぎり神戸市内でした。匿名のコメントでご指摘いただきました。少々調べ直しまして、該当する部分を訂正しました。たいへん失礼いたしました。ご指摘くださった方には神戸経済ニュースのステッカーを差し上げたいです。もしよろしければ連絡先をお知らせください。

▽シリーズ「神戸ABCの旅」
・第4回 「D」 道場(どうじょう) 前編
・第3回 「C」 センタープラザ
第2回 「B」 弁天町(べんてんちょう)
第1回 「A」 相生橋(あいおいばし)

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