白鶴酒造「森の世話人」活動、まず10本植樹 六甲山で紅葉樹林めざす

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【神戸経済ニュース】酒造大手の白鶴酒造(神戸市東灘区)は4月22日に、六甲山で10本の木を植えた。国土交通省・近畿地方整備局で六甲山の保全を担当する六甲砂防事務所(神戸市東灘区)が企業・団体などに呼びかけて展開する「森の世話人」活動の一環で、同社の活動としては初めての植樹だ。住吉川の河口付近に酒蔵を構えて約280年。豊かな水や、寒造りに適した風「六甲おろし」に恵まれて、酒造りを続けてきた同社の有志で「六甲山に恩返しをしよう」と始めた活動だが、木が植えられるようになるまでは、意外に時間がかかった。(写真はすべて白鶴酒造提供)

 1995年の阪神淡路大震災とその後の雨などで、六甲山系では山林の崩落や地割れが合計1000カ所以上発生した。これを受けて、六甲砂防事務所と兵庫県は96年3月に「六甲山系グリーンベルト整備基本方針」を作成。土砂災害を防ぐため、斜面でも強い根を張る落葉紅葉樹林を育成する。このための整備活動に、住民や近隣に立地する企業などに参加を求めたのが「森の世話人」の活動だ。現在50以上のグループが参加。六甲山の国有林に設ける「担当エリア」で、年2回以上の山林を育成する活動に取り組む。

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 白鶴酒造が担当するのは住吉川上流の約4500平方メートルだ。同社が初めて活動したのは2021年12月。六甲砂防事務所から指導を受けながら、木を植えるための場所を作るための作業をする。「下草や雑木を刈り取る」というのが作業内容(2枚目の写真右)だが、作業を始めると感じるのは、なかなか終わりが見えないということだ。4500平方メートルといえばテニスコート約17面分。10人がかりで作業して「少しはなんとかなったかな」と思っても、休日のボランティア活動で年に数回の作業とあって、3カ月後に同じ場所を訪れると、作業前の状況に戻ったかと思うほど雑草が生い茂る。

 それでも5回の活動で、なんとか落葉紅葉樹のヤマザクラ、エノキ、イヌシデを合計10本を植えるだけの場所を確保した。迎えた4月22日が6回目の活動日だ。2メートル以上の間隔を開けて、苗木を植える場所に穴を掘る(3枚目の写真左)。そこで対面した新たな難関は、土の中から多くの石や瓦が現れたことだった。現れた石は、石垣のように組んであるのが分かる場所もあり、どう見ても人工物だ(同右)。現在は国有林だが、以前は人の出入りがある場所だったのだろう。あるいは、酒造りのために精米していた水車小屋だったのかもしれない。

 石組みや瓦を取り除いて掘った穴には、苗木の根を入れ、土をかぶせていく(2枚目の写真左)。根にかぶせた土は踏み固め、十分に散水する。苗木の周りには数本の園芸用の支柱を立てて、苗木に網をかぶせることで、植樹した苗木であることを分かりやすくするのと同時に、獣害から苗木を守る。柔らかい苗木は、なんといってもイノシシの好物だ。落葉樹は葉が落ちて休眠状態になる冬場から3月ごろまでが、植樹の適期とされる。雨で延期になったこともあるが、木々が芽吹く新緑の季節に入る直前に、なんとか植樹を終えることができた。

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 植樹は地元NPO法人のボランティアや、同NPOで活動する留学生も手伝った。活動開始から約1年半。最初の植樹を終えて「無事に育ってくれるよう見守っていきたい」(総務人事部課長の林寿和さん)というのが、率直な感想だという。6回の活動に、白鶴酒造の社員のべ40人ほどが参加。活動日が近づくと、参加メンバーの間では「どれぐらい草が茂っているかな」といった話題に上るようになった。活動の輪は広がりつつある。1年半も白鶴酒造280年の歴史を思えば短い時間かもしれない。「森の世話人」活動はまだ始まったばかりだ。

▽・・・「森の世話人」活動には、白鶴酒造と同時期に菊正宗酒造(神戸市東灘区)も参入した。活動を10年以上も継続している企業もある。主な参加企業は住友ゴム工業、好日山荘(神戸市中央区)、上組、大和ハウス、神戸製鋼所、アシックス、UCC上島珈琲、(公財)ノエビアグリーン財団など。住民団体では山岳連盟やガールスカウトなども名を連ねる。活動の様子は国土交通省・六甲砂防事務所のホームページで見ることができる。

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