日本イーライリリー、成長製品群の売上高24%増加 西神工場で計70億円投資

【神戸経済ニュース】米製薬大手イーライ・リリーの日本法人である日本イーライリリー(神戸市中央区)は、2022年12月期の売上高が前の年に比べ13%減の2167億円だったと発表した。3期連続の減収になった。特許切れになった抗うつ剤「サインバルタ」と抗がん剤「アリムタ」などの販売が縮小した。一方で、22年12月期の新製品など特許が持続している成長製品群の売上高は24%増の1637億円と大幅に伸びた。売上高に占める新製品・成長製品群の割合は76%と、前の期の53%から大幅に上昇した。

 開発の面では22年に糖尿病、がん、自己免疫疾患、中枢神経疾患・とう痛の4分野で2製品の新規承認、4製品の適応追加があった。記者会見したシモーネ・トムセン社長は、今後に向けて「非常にバランスが取れた状況だ」と説明した。主力製品の入れ替わりや効率化などに向けて、同社の日本で唯一の製造拠点である西神工場(神戸市西区)では、すでに実施した約20億円の投資を含めて25年までに約70億円の設備投資を計画。新たな研究室の設置や、製造ラインの自動化など進める。

 トムセン社長は日本の売上高規模はイーライ・リリー全体で見て米国に次いで2番目になると説明。地域別の収益を比較するには昨年来の円安も逆風。「中国やドイツなどの市場も追いついてきた」というが、「現時点で日本のイーライ・リリーは米国に次いで2番目」と述べ、引き続き重要な市場であることに変わりはないと強調した。加えて「新しく出していく(2型糖尿病治療薬の)マンジャロ、(乳がん治療薬の)ベージニオ、(関節リウマチ治療薬の)オルミエント、(心不全治療薬の)ジャディアンスが今後の成長ドライバーになる」との見通しを示した。

 吉川彰一取締役は、現在の研究開発の状況について説明。国内では31品目が開発が中期(第2相臨床試験)または後期(第3相臨床試験)の段階にあることを示した。イーライ・リリーとしては新たに血液がん領域に参入したピルトブルチニブでは難治性の患者でも有望な治験の結果が出ており、「年内できるだけ早い段階で日本でも薬事申請にこぎつけたい」という。

 注目度の高いアルツハイマー病治療薬のドナネマブについては治験が進んでおり、第3相の結果を年内にも発表予定としている。ドナネマブの治験には通院した際に薬剤や資材を手渡す通常方式でなく、薬剤や資材を被験者の手元に届ける新方式「分散型臨床試験」を採用。結果として患者の負担軽減、症例数の確保、世界同時開発に大きく寄与しているという。

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