日本製麻の宮森新社長「企業価値もっと向上できる」 食品事業で増産に前向き

20230407宮森氏記者会見

【神戸経済ニュース】麻袋大手の日本製麻(3306)で新たに社長に就任した宮森宏和氏(写真)は6日、社長就任を決めた株主総会・取締役の終了後に記者会見し、食品事業では積極的に増産をめざしたい意向を強調した。食品事業の中核である北陸工場(富山県砺波市)での増産による収益拡大で、日本製麻全体の企業価値向上をめざす。主力事業である自動車向けマット事業や、麻袋などの産業資材については、引き続き既存の役員、従業員が担当することも改めて明言した。記者会見での主なやり取りは以下の通り。

 ーー日本製麻の経営に関心を持ったきっかけは何か。

 「10年以上前から(ゴーゴーカレーの)レトルトカレーを作っていただいている。企業価値をもっと向上させられるのではないかと、かねて考えていた」

 「砺波工場には、すばらしい方々がいて技術が高い。みなさん非常によくやってくださっている。もっともっと増産すべきだ、という思いだ」「砺波と金沢という同じ北陸として、もっともっと伸ばしていければ、仲間意識というべきか、それがきっかけだ」

 「もっともっと成長できるポテンシャルがあるのに、もったいないなと思っていた。従業員の報酬も改善できるはずだと信じているし、実現していこうという考えだ」「テック(IT=情報技術)なども投入し、生産性を上げ、利益率も上げ、従業員にも還元できると思っている」

 ーー砺波市の工場の強みは何だと考えているか。

 「まずは人がいい。富山の県民性もあるが、誠実だし、一生懸命だし、工場全体として伸びる余地は大きい」

 「また技術の高さはすばらしい。ゴーゴーカレーは(レトルト食品の)開発まで3年がかかった。なぜ3年かかったかというと、店舗と同じ味が再現できなかったからだ。ここ(日本製麻)にたどりつくまで5〜6工場かかり、ダメ出し、ダメ出しだった」

 「味を判別できる『ベロメーター』(官能検査のベテラン)を置いているのも、日本製麻の強みだ。ベロメーターがいない食品工場は意外に多く、半分を超えるのではないか」

 ーー砺波市の工場で設備投資は考えているか。

 「(株主として)提案してきたが、改めて確認しながら適正に判断し、進めていきたい」

 ーー雇用を増やす考えは。

 「食品の部分では、増産に向けて増やしていけるのなら増やしていきたい」

 ーー日本製麻に製造を委託している他社から不安の声がある。

 「日本製麻の既存の取引先には安心をしていただきたい。レシピを盗もうとか、そんな気持ちは毛頭ない。そうした会社にはマーケティングに力を入れていただくことで、(それに応じて日本製麻が)増産するようになるので、もっと喜んでもらえるのではないかと自負している」

 ーー食品以外の事業について事業展開の展望はあるか。

 「餅は餅屋だと思っている。効率化などについてアイデアを求められればアドバイスなどはできると思うが、マット事業は基本的には従来の人たちでやっていただく。麻袋も同様だと考えている」

 ーー本社機能や拠点の移転は考えているか。

 「どこまでを本社機能というかは分からないが、いまはリモートの時代なので、場所はどこでも仕事はできると思う。企業価値向上につながるように適切に判断していきたい」「(ゴーゴーカレーグループが3月に本社を東京都内から金沢市に移したのに合わせて)住民票は金沢市に移したし、食品事業をメーンにみていくので、私個人の主戦場は砺波工場になると思う」

 ーー今年に入って日本製麻株を大量に取得したシンガポールの会社との関係は。

 「現時点では、こちらからのアプローチもまだできていないし、連絡もいただいていない。今後コンタクトを取っていきたい」

 ーー上場会社のトップになることへの抱負は。

 「上場企業というよりも、大正時代からある、105年という伝統ある会社の社長になるということで、身の引き締まる思いだ。昔はよくて今は……ではないが企業価値を上げていきたいという覚悟だ」

 「目標は新しい幹部らとすり合わせて決めて、IRしていきたい。とにかく企業価値を上げる、という1点だ」

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