(解説)日本近代化を問う「ジャズ100年」 神戸・旧居留地で記念コンサート



【神戸経済ニュース】バイオリン奏者の井田一郎は1923年(大正12年)4月、日本人で初めてプロのジャズバンド「ラフィング・スターズ」を結成して、神戸市中央区の旧外国人居留地にあった旧オリエンタルホテルで演奏した。それから100年。神戸市は2日、当時と同じ場所にある「オリエンタルホテル神戸・旧居留地」で、当時の雰囲気を再現した関係者限りのミニコンサートを「神戸ジャズ100周年記念オープニングセレモニー」として開催した(動画)。

 「まずタキシードを着なくては--」。再現を任されたジャズ・トランペット奏者の広瀬未来さんは、再現のための工夫を聞いた記者の質問に答え、笑いを誘っていた。100年前の演奏に関する資料はほとんど残っていないが、当時のジャズといえばダンスのための音楽だ。「ダンサーさんが100年前の雰囲気を出してくれた」と広瀬さん。曲目は「A列車で行こう」「スマイル」など6曲を選んだ。リズムが一定で踊りやすい1940年代のスウィング・スタイルに編曲した。

 神戸市の宮道成彦・文化スポーツ局長は、あいさつで「海外からの文化を受け入れてきた『多様性の街・神戸』を具現化したのがジャズ100年ではないか」と話していた。1868年の開港以来、さまざまな国の人が貿易のために集まった神戸では、文化の幅も広がった。欧米を中心とした、さまざまな海外文化を生活の中に、たくみに取り入れる日本の生活スタイルは、特に欧州との定期航路で結ばれ、海外との窓口だった神戸から始まったともいえる。

 「コンテンポラリー、ジャズDJ、いま進化しているところもあり、全部紹介しないと次の時代を迎えられないのではないか」とも、宮道局長はいう。神戸市や外郭団体の神戸市民文化振興財団は2023年度に、ジャズ100年の記念行事を幅広く展開する。休日の昼間に神戸の都心に出れば、さまざまな音楽を無料で聞ける機会が増える予定だ。2日午後に早速、神戸市は三井住友銀行神戸本部ビル(神戸市中央区)前の広場で無料コンサートを開催。気に入った音楽と出会えば、夜に三宮や北野のライブハウスで、さらに聞くことができる。

 衣食住に外国文化を取り入れる豊かな暮らし、つまり日本の近代的な暮らしは、ほぼ全国に行きわたった。日本でのジャズ100年の歴史は、海外文化が日本のすみずみに浸透する100年でもあった。洋服、洋食、寝室にはベッド。和式トイレも、いまでは少数派だ。そのうえで身近に気に入った音楽があれば、さらに生活は豊かになるだろう。さて洋邦新旧、古今東西、自分が気に入る音楽とは何だろうか。クラシック音楽だけが文化ではない。誰の押し付けでもなく、聞きたくて聞く音楽とともに感じる豊かさを、改めて神戸から発信する機会にしたい。

(神戸経済ニュース編集長 山本学)

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