神戸医療産業都市の2社が連携、遺伝子治療薬を開発へ 高橋政代氏ら・目の難病で

20230215医療産業都市会見

【神戸経済ニュース】ともにポートアイランド(神戸市中央区)の神戸医療産業都市に本拠地を置く医療スタートアップ「VC Gene Therapy(VCジーンセラピー)」と「シンプロジェン」は、連携して目の難病「網膜色素変性」向けの遺伝子治療薬を開発する。VCジーンセラピーは世界で初めてiPS細胞で再生した網膜の移植を成功させた医師の高橋政代氏(写真右)が創業。視神経について深い知見を持つ同社と、治療機能がある遺伝物質を細胞内に送り込む「ウイルスベクター」の技術を持つ神戸大発スタートアップのシンプロジェンが協業することで、遺伝子治療薬の実用化が近づいたという。

 VCジーン社の社長である高橋氏と、シンプロジェンの社長である山本一彦・神戸大教授(写真左)が神戸市役所で記者会見した。「網膜色素変性」は再生医療で治療を目指しているのと同じ目の難病だが、患者の病態に応じて治療法を変える必要があるという。光を感知する視細胞の移植、つまり再生医療が必要になるほど症状が進行していない患者に対して、遺伝子治療薬で治療することを想定している。視細胞が大幅に減る前の「最も早い段階で根治できる遺伝子治療は重要」と高橋氏は説明していた。

 協業はシンプロジェンが、VCジーン社から遺伝子治療薬の開発案件を受託する契約を結ぶことによって進める。技術面での信頼関係に加え、両者の研究所は徒歩でも10分程度と近くにある。時差のある海外企業と連携するケースなどに比べて、研究開発が格段に早く進むと両氏は期待していた。高橋氏は「2023年度中に臨床試験(治験)の開始について関係機関と相談を始めたい」という。

 まだ時間はかかりそうだが、実用化すれば適正製造基準(GMP)に準拠した施設で製造し、国内外の患者に向けて送り出すことになる。山本社長は「できれば製造施設も神戸に設置されて、神戸の中で最上流から最後の製造までのバリューチェーンが完結するようになれば」と期待を語っていた。

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