(解説)神戸市本社の上場会社、日本製麻が値上がり率首位 年間株価ランキング
- 2022/12/31
- 06:54
【神戸経済ニュース】2022年の東京株式市場では、12月30日現在で神戸市に実質的な本社を置く上場会社で1年前と株価が比較できる45社のうち18社の株価が上昇した。最も値上がり率が大きかったのは、大株主が市場を通じて株式を買い増しているとの思惑で上値追いの展開になっている日本製麻(3306)で、株価は1年前に比べて2.5倍に上昇した。続いて株主への利益配分を大幅に増やした三ツ星ベルト(5192)が2位、3位に危険物倉庫の需要が好調な兵機海運(9362)が続いた。半面、新株予約権で資金調達して需給懸念が広がったカルナバイオサイエンス(4572)が値下がり率でトップになった。
45社のうち最も上昇したシャルレは日本製麻は、大株主でカレー店を展開するゴーゴーカレーグループ(東京都千代田区)が同社株を買い増している。大量保有報告によると、同社は3月に市場で日本製麻株を買い増して保有比率が5%を越えた。その後も買い増しが続き、現在の保有比率は10%を超えている。一方でゴーゴーカレーグループは日本製麻株の保有目的を「政策投資」とし、日本製麻の経営を巡って提案を示した経緯もあった。こうした動きを見て、日本製麻株には大株主の買いが入り、需給が引き締まりやすいとの思惑が広がった。
三ツ星ベルトは5月13日に、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を見直したと発表したのが上昇のきっかけになった。24年3月期の目標値は売上高800億円、営業利益83億円、自己資本利益率(ROE)8%とした。目標値を引き上げたほか、ROEの目標は初めて示した。同時に24年3月期までは「連結配当向を100%」に引き上げて配当金を手厚くすることも示した。英投資ファンドの「ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド」(NAVF)が株主総会に向けた株主提案に反対の意見を表明しながらも、株主重視の姿勢を鮮明したのが投資家の買いを呼び込んだ。
日経平均株価は年間で約9.4%下落し、年間では4年ぶりに下落した。ロシアがウクライナに軍事侵攻したことでエネルギー価格は大幅に悪化。外国為替市場では円相場が下落し、資源の輸入国である日本の交易条件は悪化した。米国ではインフレを抑制を目的に、景気を犠牲にしてでも利上げを続けるとの見方が広がっている。低金利でなんとか支えられてきた日本経済への影響も避けられない情勢だ。神戸市の45社も下落は26社と多数派を占めた(神戸電鉄=9046=は変わらず)。今後も個別銘柄は一段と選別色が強まりそうだ。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)
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