1週間の作業を1時間で… 山陽電など水上ドローンで「洗堀」調査の実証実験



【神戸経済ニュース】山陽電気鉄道(9052)は、水上ドローンを使って河川にかかる橋の橋脚付近の川底を調査する実証実験を関係者などに公開した(動画)。橋脚の下流で発生する渦によって、橋脚付近の土砂が削り取られて川底が深くなる「洗堀(せんくつ)」の有無を調べるのが目的だ。従来は保守作業員が手作業で1週間ほどかけて調べていたが、水上ドローンを使えば1時間程度で調べられる。しかも手作業よりも正確な調査結果が得られる可能性が高い。

 船のように水上を進むドローンを開発したのは、NTT西日本傘下のジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、東京都港区)だ。水上を進む場合は通常、水中のプロペラを回転させて推進力にするが、藻などの巻き込みを考えて空を飛ぶドローン同様、プロペラで風を起こして推進力にした。船体の下に突き出す形で取り付けたのは、水中を伝わる音波を発信するソナー。ドローンの正面に向けて発信した音波の反射を検知して、川底の形状を調べる。

 従来の作業方法は、保守作業員が小型のボートをこぎ出し、重しを付けた糸を沈めて川底の深さを測定するというもの。加古川橋梁の場合は約1000カ所の深さを調べることで、川底の形状を推定していた。約1000カ所の深さを調べるのに通常1週間ほどかかる。だが水上ドローンを使うと、およそ1時間で橋の下流側、上流側の両面から橋脚付近の川底を測定することができる。山陽電は今後、水上ドローンで測定した川底の形状と、手作業の結果を比較し、正確に測定できたかなどを検証する。

 水上ドローンを使って鉄道橋の洗堀を調査したのは、世界的にみても初めてになった。手間がかかる洗堀の調査が大幅に効率化できるとあって電鉄各社の関心は高く、12日に山陽電とJIWが公開した実証実験には在阪の大手私鉄など4社からも視察に訪れた。山陽電が先陣を切って実証実験に乗り出したことについて、担当者は「兵庫県の支援制度があったことで、最初の1歩を踏み出すきっかけになった」(技術部の宮垣聡太氏)と話していた。

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